焦った顔をして持っていたタオルを私の頭に
やってわしゃわしゃしてくれる先輩。
なんであまり人の来ないここがわかったのかなんて
疑問が湧くけど、今はそんなことを考えられるほど
余裕がなくてグッと顔を下に向ける。
涙が落ちるのを堪えて、優しく少し心配そうな
声色に小さく返事を返す。すると、日陰だから
かひんやりと冷たい風がふわり髪を攫う。
核心を突かれてびっくりしつつも涙が溢れそうに
なって留めつつそう答えるとまた、そう言う先輩。
しつこく感じていつの間にか掴まれていた腕を
振り払おうとするが先輩の力が強くて
全然腕が外れなくて顔を顰めた瞬間、グイッと
顎が上に持ち上げられて顔が上を向く。
ぶれた視界のピントを合わせると
空と三枝先輩が綺麗に映り込んでいて。
頬につぅっと何かが伝った感触。
目の前には眩しい晴天と眉がハの字になって
困ったような笑顔が見えて。
なんだか暖かくて、ぼたっぼたっと目から
大きな粒になって堪えてた涙がこぼれ落ちる。
泣きだしたら言葉がどんどんと溢れてくる。
三枝先輩が女の先輩と仲良く話してたことが
嫌だったこと、三枝先輩が私の前以外で笑ってた
ことが悲しかったこと、途切れ途切れに
なりつつも伝えて。
抱きしめてくれて優しく相槌を打ってくれる
先輩の体育着をぎゅっと掴んでしまって。
大泣きして涙を全部出し切った頃、
我に返って先輩から離れて頭を深々と下げて謝る。
良かった、なんて言って笑っている先輩に
この人は凄く優しい人なんだなと改めて感じて、
それと同時に一つ疑問が湧いてきて口に出す。
さっきの私はどこに行ったのかと自分でも
思うほど勢いよく、三枝先輩の言葉に
食いついてきらきらと目を向けると三枝先輩が
微妙そうな顔をしていて首を傾げるも、
グラウンドに散らばっている生徒達が多かった
みたいでグラウンドに集まるようにと放送が流れて。
三枝先輩を追うように前へと足を一歩進めた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。