まるで怪盗のような格好をしていて、
それなのに隠す気はあるのか大きい声を出して
私にネックレスをくれたおにーさん。
ただお気に入りのシャーペンを落として
探して、壊れまくってしまっていたシャーペンを
持って呆然としてた。それなのに勝手に
おにーさんは受験生だと勘違いしてきた。
初対面の人のはわざといつもより大袈裟に
明るく振る舞うはずだったのに、なぜか
すべてが見透かされそうでそのときは
落ち着いて喋れていた。
おにーさんの顔は覚えていない。
だけど、慌てたようにワタワタとする姿が
面白くて心が少し救われるような人だって思ってた。
明那先輩と一緒にいるときにふと思い出した
記憶の言葉。それをこぼしてしまい、反応した
明那先輩に意識が現実に戻ってきて急いで誤魔化す。
ぎりぎりと引っ張られるような服の感覚に
視線を向けると服の上からネックレスのある
位置をつかんでいた。
あれ、今まで忘れてたのにって思った。
体だけは覚えてたみたいなそんな……?
え、と目を見開いた。
勝手についていた癖に明那先輩が気づいている
とは思わなかったから。でも、それと同時に
気づいてくれていることは嬉しくて堪らなかった。
なにかと私に心配しがちな明那先輩を
落ち着かせるように「ありがとうございます」
って言って目を合わせる。…と、明那先輩が
そろっと少し照れくさそうに目を逸らす。
止まった言葉に首をかしげる。
聞こうと思ったとき、明那先輩がなにか
思い出したのかのようにごそごそと何かを
取り出してパッとこちらに見せる。
なんだか既視感があるような……。
「別にいらなかったらいいんだよ!?
俺が勝手に買っただけだし…!!!」
慌てたようにつけ足した様子が
あのおにーさんに似ていた。
でも、そんなの関係なくて今は……。
ぶわっと熱くなった明那先輩の耳。
ネックレスを貰っているときにはっきりと
見えた染まった色に目を見開いて固まってしまう。
ふふんっとドヤ顔をして提案をすると
モゴモゴと喋っていた明那先輩がガチリと
動きを止めて、そして………
ぶわっとさっきの明那先輩みたいに
耳が熱くなったのを感じた。
頬も熱くてなんとか冷やそうと
手をピタリと両頬につける。
また慌てたように言う明那先輩に
コクコクと縦に頷いて、慣れる気のしない
雰囲気に2人して顔を見合わせて笑ってしまった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。