あれから数日後。
ちょうどグループの冠番組の収録がある日。
紙袋を片手にテレビ局へ入り。
少し先の方で
持ち帰り用の蓋付きのコーヒーカップ片手にエレベーターを待つ姿が。
不意に声をかけられて、一瞬肩を揺らすも。
誰か分かれば すぐ口元を緩めて優しく笑い。
エレベーターの扉が開けば、一緒に乗り込んで
手渡されたクッキーの袋を空いていた片手で受け取り、
不思議そうに眺める吉田。
あなたの名字の言葉に、ばっ、と顔を上げ。
みるみるうちに、目が細くなり クシャッとした愛らしい表情で笑って。
何を、とは敢えて言わず。
彼処の空間にいた二人にしか伝わらない会話。
ふっ、とお互い笑えば
頬張ってる姿を見られていたことに、顔を赤くするも
お会計してくれていた事にお礼をやっと言えて。
にんまり悪戯な笑みで笑い、同じ階に付けばドアを手で押えてくれて。
コーヒーカップを片手に、嬉しそうにクッキーの袋を見つめながら
肩を並べて楽屋まで歩き。
敢えて名前を残さなくても、好みを理解してくれている事に
にやけてしまう顔を、何とか耐えて。
楽屋の扉をゆっくり開ければ、山中と塩﨑が先に来ていて。
いつも珈琲は持参することはあるものの、
お菓子は珍しく。
その上既製品、というよりは手作りっぽい見た目で。
じぃー……と塩﨑が吉田の手を見つめ。
名前を出すと思わなかったのか、びっくりした表情のあなたの名字。
そして同じく驚いている山中と塩﨑。
……当の本人はふふんッとしてやったり顔。
質問攻めで、早く早くとあなたの名字に迫る二人。
まさか無いとも言えず、目を泳がせるあなたの名字。
……それを他所に美味しそうに珈琲を飲み、
クッキーを頬張る吉田であった。
これから少しずつ、1:1のエピソードも書いていこうと思います。
お楽しみに。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。