第8話

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2024/06/16 07:24
流れ作業のように最寄りに着いたが

どこに行けばいいんだろう。




家に帰ったって馬鹿な両親がいるだけだし

ソクミナの家はだめだ、甘えてしまう。





ネカフェとか、?



とはいえお金がすぐになくなる。


そう思った私は

世の中が寝静まる深夜2時頃に家に帰り、



お金を財布に入れて寝た。





親ももちろん既に寝ていてほっとする。





早朝には家を出て

コンビニで買ったサンドイッチを公園で口に放り込む



昨日の夜は何も食べていないから

空腹だった胃が暖まる感覚に気づく。




ゆっくり食べ、時間を忘れまったりしていると



時計の針はもう学校に行く時間を指していた


憂鬱ではあるが、行かなきゃならない。



行かなくていいと言われればすぐに辞めるのだが。




賑わっていた教室に私が入ると即座に静寂が訪れる
あなた
…なに、気持ち悪い。



独り言のようで独り言じゃない言葉を雑に吐くと

また教室内はザワザワと騒がしさを取り戻した




あなた
…何これ。

席に行くと気付く、

汚くされた机。



中の教科書達はびしょびしょだ。




机の上には

赤く書かれた私の名前に、一輪の花。


そして
「勘違い女」「ブスのくせに」「消えろ」「しね」

などといった小学生レベルの罵詈雑言が
幾つも書かれていた


HS
やばいやばいやばいやばい!
HS
遅刻〜!!!



遠くからあの声が聞こえる。


クォンスニョン、朝から騒がしい。
HS
セーフ!



彼は私と違って誰とでも挨拶した。


そして誰でも返してくれていた。



羨ましい

どこからか湧き出る感情の止め方を
誰か知らないだろうか
HS
おはよ〜…
HS
…え、?
あなた
ドン引きだよね
あなた
しょうもなさ過ぎて
HS
HS
はい、あなたの机こっちね
HS
うわ、教科書も…
あなた
なにやってんの
あなた
いいよ、私こっち使うから



彼は私の落書きだらけの机を


自分の席に置いた。


そして私のところに綺麗な机を置いた
あなた
…なんでそんな、
HS
ずっと探してた、あなたのこと。
HS
だから守る、それだけ。



彼の目はいつになく真剣だったが

何を言ってるんだ。




私は記憶喪失でもなんでもない。

小さい頃のことはいくつも覚えているし、



事故にあったこともない
だから大切な誰かを忘れている


なんてドラマみたいなことないはずなんだ。
あなた
…厨二病こじらせてるの?
HS
違う、ほんとなんだよ


ふざけてるのなら、やめて欲しい。



あなたと喋って鋭い目が突き刺さるのは私なんだから



昨日と違ってペアワークに困ることは無かった


話す相手なんかいないのに、

ペアワークを強要する先生は多分一生恨めるだろう。
HS
あなた、一緒に帰ろう
あなた
無理



まだ荷物が纏まっていない彼を置いて

私はリュックを乱暴に背負って歩き出す。



歩き出すと、耳にきーんと来る女の声が響く


👧🏻
スニョンくん、!
👧🏻
あの子…嘘コクに騙されて本気で振るような勘違いしちゃう子なんだよ、
👧🏻
多分スニョンくんが優しくすると漬け込むと思うなぁㅎ
HS
…嘘コクってしょうもな、


HS
お前?あなたの机に落書きしたの
HS
落書きが許されんのって小学校低学年までだけど
HS
…大丈夫?ㅋ
HS
嘘コクされた側の気持ちも考えられないやつからの手紙なんか受け取れねえわ


そうか、


この子この前のラブレター女か。





クォンスニョン、結構真面目。



少しだけ、ほんの少しだけ



私の心が暖まった。





HS
よし、!あなた!
HS
帰ろ!




…だけど、



彼にあんなことを言わせてしまったうえに

あの女の子の鋭い目を見ると





私はクォンスニョンとは関わるべきでない。
HS
ま、待ってよ…!



私は騒がしい教室から早足で逃げるように離れた

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