公園には、夕方の風が吹いていた。
少しだけ冷たくて。
少しだけ優しい。
ベンチに座ったまま、膝の上で手を握る。
ローレンが戻ってきて、
隣に腰を下ろす。
分かってた。
勘のいいローレンは、
すぐ私が隠し事してることに気づくって。
いや、逃げたくない。
これ以上、嘘をつきたくなかった。
いつもみたいな軽い口調。
でも、視線は真っ直ぐだった。
ローレンが固まる。
当然だ。
私がもしローレンの立場だったら、
きっと同じような反応する。
ローレンが頭を押さえる。
困惑した表情。
少しだけ勇気を振り絞って、
話を続けた。
思い出す。
あの日、天国でのこと。
言い終える。
しばらく、数秒の沈黙が続いた。
いや、もっと長かったかもしれない。
また沈黙。
思わず顔を上げる。
今の内容をすぐ納得するのは、
難しいと思うのに……
ローレンはこくこくと頷く。
小さく頷く。
私がローレンのことを知っていたのは、
未来にいたから。
ローレンは深いため息をついた。
少しだけ笑ってしまう。
ローレンも可笑しそうに笑っていた。
確かに、未来を知っているから
多少変なことは言ったかも。
最初は驚かれて、困惑されたけど、
否定されなかった。
信じてもらえた。
それだけ、涙が出そうになる。
秘密を明かすことのできる人とか
いなかったから。
ローレンは照れくさそうに視線を逸らした。
信じてもらえて嬉しかった。
だから、今なら言えると思った。
一年後に、
私は消えること。
みんなの記憶から居なくなること。
その話も、ちゃんと……
ベンチから立ち上がる。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!