第7話

7
430
2026/04/22 13:10 更新




jr side.






昼休み。


教室の窓際、パンをかじりながらスマホをいじってたところに、ふいに隣の席のきょもから声がかかる。




「ねえ、樹」

「んー?」

「昨日、駅の近くの坂道でさ。誰かと一緒に歩いてなかった?」

「……え?」



 
指が止まる。心臓も、少しだけ跳ねた。




「男の人?ちょっと背高くて、黒いパーカー着てて……たぶんだけど、あんま高校生じゃなさそうな感じの」



がそう言いながら首を傾げる。

その描写に、思い浮かぶのは一人しかいない。



……北斗、か…




「……ああ、うん。知り合い」

「ふーん?知り合い、ね」

「なにその言い方」


「いや、悪い意味じゃなくて。てか、珍しいなって思ってさ。樹、あんまそういうタイプと絡んでるの見たことないし」

「そういうタイプって?」


「んー、大人っぽいっていうか……なんか空気違う感じ」




きょもは悪気なく言うけど、その言葉にちょっとだけ、胸がざわつく。


たしかに北斗は、同年代とは違う落ち着きがあるし、どっちかって言うと距離を取るタイプだ。



けど、そんな北斗が自分とは並んで歩いてくれるっていう事実が、なんか誇らしかったりもする。



「……たまたま会っただけだよ、帰り道。ちょっと話してただけ」

「そっか」



きょもはあっさり引き下がる。

けど、なにか言いかけたような顔もしてた。


……見られてたんだ、俺ら



その“見られてた”っていう事実が、想像以上に心を揺さぶる。


バレたくないわけじゃない。けど、説明もできない。



まだ、何者でもないこの関係を、名前もつけられないこの距離を——


人に話せるようなもんじゃないって、なんとなく思ってしまった。





スマホの通知が光った。


北斗から。



《今日も帰り、コンビニ寄る?》


無意識に、少しだけ笑ってしまう。





……なんなんだろな、ほんと



そう思いながら、「行く」って返した。








プリ小説オーディオドラマ