※R15くらいの表現あります。
どうやら自分は『記憶喪失』になったらしい。
気付くと知らない病院に居て、
知らない人達に『ゆーま』と呼ばれた。
事故に遭ったんだと知らない医者に説明されて、
記憶を取り戻すために毎週カウンセラーと話せと言われた。
…何も覚えていない。
目を閉じて浮かぶのは、『水色』だけ。
何故『水色』なのかも分からない。
早く何かを思い出したかった。
きゅーが震える声で言う。
たくぱんも俯いている。
うたもまだ受け止めきれていない。
そして俺も、 未だに信じられない。
見れば、ザウルスは深呼吸して涙を抑えていた。
表情は明るくないが、いつもの会話をした。
ゆーまの記憶が戻るように、全員で協力しなければ。
言われて目を閉じ、意識を集中させる。
頭痛と共に、何か流れ込んできた。
礼を言い、部屋を出る。
目が覚めたときには結構事故から時間が経っていたそうで、
ギプス等はもう付けていない。
その為、無理をしなければ歩くこともできる。
医者にも何も言われていない。
大切な手がかりを失くしたくない。
外に探しに行こうと決めた。
あてもなく歩き出してからどれくらい経っただろうか。
全く知らないところに来た。
ここは暗くてカラフルで、浮かんだ光景に似ている気がする。
突然声をかけられた。
この人が見間違えたのかと思い、訂正しておく。
何を言っているのか分からない。
急に手を掴まれ、口にハンカチを押し付けられた。
がくんと膝をつく。
抵抗しようとするが、全身に力が入らない。
手首を引っ張られて、何処かに連れて行かれそうになる。
あまりの恐怖に、涙が滲んできた。
淡いピンク色の液体が入った小瓶を傾けられた。
楽になれるのならと口をあける。
『パリンッ』
小瓶が男性の手から払い落とされ、地面に落ちて割れる。
誰かが男性(モブ)の腕を掴み、小声で話している。
たくぱんと名乗る人に説教される。
次からはたくぱんさんの仲間のうち誰かと行くようにと言われた。
正直どんな人が居たか覚えていない。
それを聞く前に、たくぱんさんによって病院に戻されてしまった。
看護師さんにも叱られてしまった。
退院まで外出禁止は流石にきつい。
記憶を取り戻すために、これからは失くした記憶の中に居るはずの人達と外に出ることに決めた。



















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!