はあ…本鈴までにギリギリ間に合った。
そのあと普通に授業受けたよ。特に何もなかったからカットするけど。
放課後。
委員会の仕事で少し遅くなった。ノートを四回まで運ぶ羽目になるとは………
疲れた…
多分もうこの時間じゃ誰もいないだろうな。
教室の扉を開けた。
林田くん…
あれを読む前の私ならそんなはずないって信じなかったかもしれない。
でも今は正直………
ガラガラガラッッ
リュックを背負い、走ってその場を立ち去った。
やっぱり…やっぱり前川くんなんだ。
なんでなの……
涙で視界がぼやける。
確かに今の自分は酷い顔をしている自信がある。
涙止まらないし
そうして斉野くんの家に入らせてもらった。
意外と近いところにあったらしい。
あーあ、迷惑かけちゃったな……
斉野くんに申し訳ない….
お茶を飲みながら、ついさっきあったことを話した。ゆっくり、ゆっくりと。
相変わらず涙は止まらなかったけど、斉野くんは何も言わず話を聞いてくれた。
聞き上手って奴なのかなぁ…話してると、落ち着く…落ち着きすぎて眠く……なって…き、た…
斉野くんの言葉が聞こえるが、ちょっとずつ遠くなっていく…
あ、もうだめだ…
no side
彼は小さく呟く。そして、彼女を部屋まで連れて行って寝かせ、そのままどこかへ立ち去った。
そんな彼の口元はどこか歪んでいた………
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!