第4話

青色の雨、赤色の頬 🎁
1,468
2022/02/10 13:34
今日は一日太陽が隠れてる。





頭も痛くなるし気分も下がるし、





何よりぽかぽかした晴れの日が好きな私にとって雨は苦痛でしか無かった。





そんなことを考えてはため息をつく





ジェヒョン
ジェヒョン
あなた、聞いてる?



ジェヒョンの声にハッとして目線を彼に戻す


(なまえ)
あなた
ごめん、雨のせいで聞いてなかった...

と言って外を睨みつける私に





”全部雨のせいにすんな”と笑う彼





話すだけで心を明るくさせてくれるジェヒョンといたら、嫌いな雨だって乗り切れる気がする



(なまえ)
あなた
それで何の話?
ジェヒョン
ジェヒョン
あぁ、あなた数学の課題出した?



”先生めっちゃ怒ってたよ”
なんて言うから背筋が凍って、急いで机の中にある教科書を取りだした。





”どこ、何ページ!?”と焦って教科書を開いて彼に聞くと


ジェヒョン
ジェヒョン
課題なんてないでーす


全部うそ。と言って笑い出す彼





何回目の嘘なのか分からないし、なんで毎回引っかかるのかも分からない





腹が立った私は教科書で彼の手を叩く。





それでも煽り続ける彼に呆れながら、椅子を前に向けて教科書をしまった




____




一日授業が終わってリュックに最低限のノート類を詰める




ジェヒョン
ジェヒョン
あなた行こ


そう言って歩き出す彼。





私も急いで彼に駆け寄る





少し先を歩く彼と、なかなか隣で歩けずにいたら察してくれたのか少し歩幅を小さくしてくれたジェヒョン






こういう所が女子にモテるんだろうなぁ、なんて思ったりして。






玄関に着き、スニーカーを履いて傘を取りに行く















(なまえ)
あなた
...あれ


ない、ない...と思いながら傘立てを漁る






私の遅さに痺れを切らした彼が”何してんの?”と、こちらに向かってきた。


(なまえ)
あなた
いや、傘盗まれたかも...



心配そうに土砂降りの外を見つめる私に、
”自分がされたように他の人の盗めば?”なんて言って笑わせてくれる





もうちゃんと考えてよ。そう彼に怒ると





彼は少し黙り込んだ




ジェヒョン
ジェヒョン
じゃあ俺の傘入れよ、大きいから





(なまえ)
あなた
...いいよ申し訳ないし


とか言ってしまうけど内心入りたい気持ちでいっぱいだった。





でもそんなこと言えるはずもないから下を向く








”じゃあどうやって帰るつもり?”と言い、私の手を引いて正面玄関をくぐった。









ちょっと...と言って彼の手を振りほどくけど、顔は嘘を付けなくて頬は赤色に染まる




ジェヒョン
ジェヒョン
ん、入らないの?



傘をさして私を見つめるジェヒョン





ジェヒョンの言う通り一人では帰れないし、恥ずかしいけど入れてもらうことにした。





_____



(なまえ)
あなた
駅、遠いね


ジェヒョン
ジェヒョン
そう?



普段通り話してるつもりだけど、いつもより彼が近くにいるせいか声が小さくなってしまう





沈黙が続いて





彼はなんとも思ってないんだろうか、恥ずかしいとか思ってるのは自分だけなのかな





とか、いろんな疑問が増えていく







そんな中、一瞬寒気が走る。
間髪入れずに”くしゅん”と、くしゃみが出てしまって咄嗟に鼻をすすった





恥ずかしいとか気にしすぎていつの間にか傘から肩が出ていたみたい、





見ると制服の半分はベタベタだった。





彼に申し訳なく思いながらもくしゃみは止まらなくて、くしゅんくしゅん咳き込む


それを見兼ねたジェヒョンが





ジェヒョン
ジェヒョン
もっとこっち




と、私の肩を抱いて引き寄せた





慌てて体を彼から離そうと試みるけど、意外に力が強くて思ったように力が入らない


(なまえ)
あなた
ちょっとジェヒョン...



なんて言って軽く肩を叩いてみると





彼はそっぽを向いて、頭をかきながら口を開く


ジェヒョン
ジェヒョン
こうでもしないとお前が風邪引くだろ




彼の頬も私と同じ色に染まっているのが正面からじゃなくても分かった




____





それから駅に着くまで無言で





彼はずっと手を肩に回していた。





頬の色と同じで彼も私と同じ気持ちを持ってる?
なんて一人で口元を緩めてしまう。









自分の勘違いかもしれないけど許して、





そう思わせたのはジェヒョンなんだから。








”また今度も入れてね”
と耳元で囁いて下を向くジェヒョンを横目に、私は改札を通った。




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