第3話

寒いだけ 🐿
1,493
2022/02/04 17:20


些細なことで喧嘩してから1週間たった。




彼はずっと話し合おうとしてくれてたのに私が変に頑固で、一方的に断ってしまった。




”もう連絡してこないで”




とチャンミンに吐き捨てられ頭が冷えて事の重大さに気づいたとき、もう彼は隣にいなかった。




まだ別れた訳じゃないのに心に穴が空いた気分




どうしよ、なんて学校の机に顔を埋める




前を向いても同じペースで面白くもない授業が進んでいってるだけ。




いつもより聞く気になれずに




ため息をつきながら廊下に視線を移すと、体育終わりのクラスが教室に戻っているところだった。




その集団をぼーっと眺めていると、今一番見たくない顔




隣には小さくて可愛らしい女の子がいる。




混乱してる頭では到底状況を理解することが難しくて




目を見開いて楽しそうな彼らを見つめることが限界だった





チャンミンと一瞬目が合う




焦るように目を逸らすと彼はまた女の子に視線を戻した。




隣の女の子は誰?




私と喧嘩してる間に好きな子でもできた?




そんな考えが頭をよぎる。




私がぐずぐずしてる間に愛想をつかされたのかも




考え出したら止まらなくて、絶対に今日謝ると決めた。




明日に先延ばしすると一生仲直りできない気がするから




そう心に決めてから時間がたち、やっと下校時刻になった。




早速チャンミンのクラスへ向かう



(なまえ)
あなた
チャンミンくんいますか


と聞いてみたけど、もう帰ってしまったらしい





謝るって決めたのに...なんてぶつぶつ言いながら下駄箱に向かった




すると見慣れた後ろ姿が目に入る
(なまえ)
あなた
あ、チャンミナ!


結構大きい声を出してみたけど振り向いてはくれなくて




彼の隣を見ると、さっき授業終わり一緒に歩いていた女の子が見えた。




こんな気持ちを持ったのは初めてで、泣きそうだし胸がもやもやするし....




でも謝りたいから、とりあえず彼らの後ろで歩くことにした。







歩いてしばらくすると別々の道なのか、女の子は手を振って帰って行った。




今だ、と思って彼の隣に向かう





チャンミン
チャンミン
何?


彼は私の方を一切見ずに歩く。




怒ったチャンミンってこんなに怖いんだ、なんて考えながら




授業中必死に考えた謝罪文をそのまま言った

(なまえ)
あなた
あの、私、チャンミンが優しくて
(なまえ)
あなた
ずっと甘えすぎてたみたい、




ほんとにごめん、そう言うとチャンミンは歩くのを止めた



チャンミン
チャンミン
声全然聞こえないけど?



と、顔を覗き込んでくる彼。




あまりにも急で驚いたけど、今彼の顔を見てしまうと何か溢れだしてしまいそうで下を向くことしか出来なかった。



チャンミン
チャンミン
俺もごめん
チャンミン
チャンミン
困ってるあなたが可愛くてやりすぎた


私だけが悪いと思ってたけど彼も彼だった。




隣にいた女の子のこととか、沢山聞きたいことはあったけど心の奥にしまうことにする




チャンミンのことだから浮気なんて絶対しない、と思う



チャンミン
チャンミン
あなた、耳赤いよ


そう言って笑い出すチャンミン




私は耳を手で覆いながら
(なまえ)
あなた
これは寒くて、


なんて絶対バレるような嘘をついた




そう?と言って急に歩き出した彼に追い付こうと耳を覆うのも忘れて小走りで横に向かう




するとチャンミンの指先まで冷えた手が私の耳に触れる。

チャンミン
チャンミン
あれ、すごい熱いけど


いたずらに笑いながら真っ直ぐ見つめてくる彼




やめて、と言い手を払いのけ再び自分の耳を覆う




お互い面白くなって笑っちゃうけど




なんだかチャンミンを久しぶりに感じれた気がして、溜めてたものが溢れてきてしまった。


チャンミン
チャンミン
なんで泣くんだよー

と笑いながらも




とめどなく流れる涙に、”ほら、これ使って”とズボンのポケットからハンカチを取り出してくれたチャンミン




綺麗なハンカチを汚してしまって申し訳ないけど少し治まってきたので彼の方を見る




彼は泣き止んだのを見計らったのか




首を傾げて口を開く


チャンミン
チャンミン
なんで泣いたの



にやにやと笑いながら私の方を見てくるチャンミン





仲直り出来てよかったからとか






チャンミンが優しくてとかじゃない

(なまえ)
あなた
寒かっただけ





そう言って笑って彼の手を握った

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