第33話

廻る生命の
290
2021/10/31 04:59 更新
チーノside
ルキナさんが歌い出した途端、信じられないことが起こった。
まず、大先生の脚の怪我が跡形もなく消え去った。
俺やシャオロンの傷も同じように、癒された。
次に近くで死んでいた味方兵が、何事もなかったかのように起き上がった。
我々国兵士
…あれ…何で俺生きて…?
まさかと思って敵兵の死体を見ると、こちらは微動だにせず転がっている。
…ルキナさんは歌い続けている。
祈るような体勢で、透き通るような賛美歌を。
チーノ
…これが、ルキナさんの本当の声なんや…
俺はいつのまにか、彼女の歌に聴き惚れていた。
俺だけじゃなくシャオロンや大先生、ぴくとさんもそうだったのだろう。












時間にして、3分弱。
長いようで短い間、ルキナさんの歌は奇跡を起こし続けた。
その最後の余韻が消えた瞬間、戦場に響き渡ったのは拍手……
ではなく。
???
《我々国の皆さーーん‼︎》
拡声器を通された、大音量の声。
ぺいんと
《日常国総統の、ぺいんとでーーす‼︎》
ぺいんと
《お待たせしてすみません、助太刀に来ましたーー‼︎》
掲げられる、日常国の軍旗。
よかった、間に合ったんだ。
チーノ
ルキナさ…
振り返った俺の目に映ったのは、再び傾くルキナさんの身体。
ぴくと
おっと!
一番近くにいたぴくとさんが、ルキナさんを受け止める。
チーノ
ぴくとさん、ルキナさんは…⁈
ぴくと
…脈も呼吸も戻っている。眠っているだけですよ
その言葉に、俺は安堵を隠しきれなかった。

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