第30話

消え行く者の
254
2021/10/29 08:20 更新
チーノside
チーノ
ルキナさんッ、ルキナさんッ‼︎
無我夢中で手を伸ばし、ルキナさんの身体を抱き止める。
鮮血が、見る見る俺とルキナさんの服を紅く染めていく。
チーノ
目ぇ開けて…ッ、返事してください‼︎ルキナさんッ‼︎
シャオロン
チーノ伏せろ!もう一回来る!
シャオロンの叫ぶ声が聞こえたが、俺は今の体勢を崩そうとはしなかった。
刹那、破砕音と共に戦車が破壊された。
スクラップと化したそれを踏み砕いているのは、先程邸宅の近くで見たドラゴン。
その背から、ぴくとさんが飛び降りてくる。
ぴくと
みなさん、ご無事ですか⁈
チーノ
ぴくとさん、…ルキナさんが‼︎
ぴくと
……ッ‼︎
ぴくとさんは駆け寄ってきて、ルキナさんの口元と首筋に触れた。
しかし、彼はその手をすぐに離してしまった。
ぴくと
…すみません、間に合わなくて
チーノ
何言ってるんです⁈すぐしんぺい神の所まで…!
言いかけた言葉を、俺は途中で飲み込んだ。
気づいてしまったから。
…ルキナさんの体に、もう体温が無いことに。
チーノ
嫌だ…嫌です、ルキナさん‼︎
シャオロン
チーノ…
チーノ
ルキナさん、言ってたやないですか!「約束」した人がいるって!
チーノ
その人も、待ってるとちゃうんですか…‼︎
敵兵
…居たぞ‼︎幹部だ‼︎
ぴくと
俺が時間を稼ぎます。早く邸宅へ!
だが、遅かった。
俺達はとっくに、敵軍に包囲されていたのである。

プリ小説オーディオドラマ