チーノside
無我夢中で手を伸ばし、ルキナさんの身体を抱き止める。
鮮血が、見る見る俺とルキナさんの服を紅く染めていく。
シャオロンの叫ぶ声が聞こえたが、俺は今の体勢を崩そうとはしなかった。
刹那、破砕音と共に戦車が破壊された。
スクラップと化したそれを踏み砕いているのは、先程邸宅の近くで見たドラゴン。
その背から、ぴくとさんが飛び降りてくる。
ぴくとさんは駆け寄ってきて、ルキナさんの口元と首筋に触れた。
しかし、彼はその手をすぐに離してしまった。
言いかけた言葉を、俺は途中で飲み込んだ。
気づいてしまったから。
…ルキナさんの体に、もう体温が無いことに。
だが、遅かった。
俺達はとっくに、敵軍に包囲されていたのである。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!