外からは中の様子は見えない
でも地面にバチバチと触手が当たる音と、殺せんせーの焦ったような声が聞こえてくる
鶴田さんは苦しげに俯いた
そしてシロはペラペラと自分の戦術を語り出した
要訳するとこうだ
この殺せんせーを囲っているシーツは対先生繊維の強化布であり戦車の突進でも破けないくらいとても頑丈
独特の匂いは洗剤臭で誤魔化してある
前とは違うイトナくんの触手に装着されているのは刃先が対先生物質でできたグローブで、高速戦闘に耐えられるようにしてあるから僕たちが使っているナイフより効果は落ちるが、じわじわと一方的にダメージを与えることができる
そして、イトナくんは常に上から攻撃して殺せんせーを逃さないようにしているみたいだ
突然のことだ
殺せんせーを中心に白い光で爆発が起こった
建物のガラスが全て割れ、イトナくんのグローブが壊れながら宙を舞う
そして落ちる寸前で、殺せんせーが優しく抱き留めた
…それは自分で広めれば良いのでは…?
世間に茅野さんの胸に関して興味ある人なんていないと思うんだけど…酷いかな
殺せんせーの言葉にシロはスッと目を細めた
イトナくんの声にみんなが視線を向ける
イトナくんの様子が何やら変だ
頭を抱え、口から涎を垂らし眉間に皺を寄せ、痛みを堪えている
シロの口ぶりはまるで自分の作戦を実行できないイトナくんが全て悪いと言いたげだ
自分の作戦の穴は棚に上げている
なんて…なんて身勝手な行動なのだろう
塀を最も簡単に乗り越え颯爽とさっていったシロに、僕たちは唖然とするしかなかった
元々殺せんせーと同じでイトナくんだって普通の人間だったはずだ
普通に愛されて普通に遊んで笑って生きていくべき男の子だったはずだ
それを必要無くなったからとポイっと捨ててしまうのはあまりにも人間がやることではない
あいつには…人間の心がないのか…?
殺せんせーが突然叫んだかと思うと、僕の目の前で何かが弾けた
イトナくんを見てすぐに状況を理解する
イトナくんの暴走した触手を殺せんせーが弾いてくれたのだ
イトナくんは荒い息を吐き、肩で息をする
そして呻き声を上げると、まるで動物の本能に従っているように飛び去っていってしまった













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。