第22話

No.21
1,716
2024/05/19 13:00
目黒Side



やっぱり、あの違和感は嘘じゃなかった。お風呂で阿部ちゃんに問われたときはぐらかそうかとも思ったけど、最愛の人に隠し事はしたくなかったし阿部ちゃんには嘘吐きたくなかったから素直に伝えた。本人気付いてないけど上目遣い、プラス、ジト目で見られてたから余計に嘘は吐けない。

体温計で測ったらやっぱり熱があって……。家事も育児も阿部ちゃんに任せてしまうことが申し訳なかった。でも、早く復活するには寝るしかなくて睡眠欲に身を任せて眠ることにした。
翌朝、海斗の笑い声と阿部ちゃんが家事をしているであろう音で起きた。頭がぼんやりしていて体を起こそうと思ってもそれだけで疲れてしまいそうで、やめておいた。しばらくすると阿部ちゃんが入ってきて体調の確認をされる。
とにかく謝りたくて謝ったら、謝罪しなくて良いって言ってきて、こういうところが年上だと感じるんだよなぁ。


いつもとは違って阿部ちゃんが俺の頭を撫でてくれた。そのまま眠りについてしまえば阿部ちゃんが起こしに来るまでぐっすり寝ていた。
阿部亮平
めめ?起きれそう?
目黒蓮
んっ……おきる…
阿部亮平
無理しなくていいけど…大丈夫?
目黒蓮
だいじょーぶ、ありがと。
なんとか体を起こして、枕に凭れる。阿部ちゃんは心配そうに見つめてくるけど、動けることに安心したのかホッと息を吐いた。
阿部亮平
一応、簡易的な検査キットは買ってきたけど……。今、熱何度?って測ってないか。
阿部ちゃんに体温計を渡されて素直に脇に挟む。んー、昨日と変わってない気がするんだよなぁ。
目黒蓮
……38.5度。
阿部亮平
そんな変わってないね。
……心配だから、コロナの検査はするよ?
目黒蓮
ん、わかった。
これ、痛いんだよな。そう思うも、海斗たちに伝染したくないから文句は言わずに検査した。
しばらく待って、結果を見ると陰性。コロナじゃないとしてもインフルエンザの可能性はある。阿部ちゃんもその考えはしているみたいで、悩んでいる様子だった。
阿部亮平
どうしようか…病院、行く?
目黒蓮
本音は行きたくないけど、阿部ちゃんたちに伝染ったら嫌だからちゃんと病院行って検査してもらう。
阿部亮平
わかった。じゃあ、病院行く準備、するね。
目黒蓮
うん、ありがとう、阿部ちゃん。ごめんね、折角のオフなのに。
阿部亮平
謝らないで?って、めめ、いつも俺に言ってるのに忘れちゃった?
目黒蓮
あ……そうだった……うん、ありがとう。
いつもとは立場が逆転してる。たまにはこういうのも良いかもな。ゆっくり動いて病院に行けるようにある程度身支度をする。阿部ちゃんが行けるようになれば、支えられながら家を出て車に乗り込んだ。
発熱外来に行って検査されるも、すべて陰性だった。阿部ちゃんはその結果にひどく安心したみたいでホッとしていた。



目黒蓮
阿部ちゃん、ありがと、病院。
阿部亮平
んーん、俺にできることはこれくらいだから。甘えるときは甘えてね?
目黒蓮
ふはっ、なんかいつもと立場違うなぁ。うん、阿部ちゃんに甘えることにする。
人のこと言えないけど、心配性な阿部ちゃんに肩を貸してもらいながら車から降りて帰宅。寝室へ行けばすぐに横になった。
阿部亮平
めめ、きっと疲れとか溜まってたんだよ。今日は何も気にせずに沢山寝て、ゆっくりして。俺もオフだし海斗たちのお迎えの時間までは家にいるから。
目黒蓮
ん、わかった。一応、お昼ご飯作るときになったら起こしてほしい。
阿部亮平
りょーかい。じゃあ、おやすみ、めめ。
阿部ちゃんに頭を撫でられれば、しっかり布団を上までかけて目を閉じた。扉の音が聞こえる前にどんどん意識が遠ざかっていく。

あぁ、俺、休めてなかったんだな。

今さらそう思っても、阿部ちゃんに迷惑かけてるのは事実でどうしようもないことだった。ちゃんと治ったら、阿部ちゃんに癒やしを提供してあげよう。

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