【るぅとSIDE】
スマホが震える。
画面には『莉犬』の文字。
そう言って電話を切り、立ち上がる。
僕は、何処に撮り直す問題があったのか考えながら、スタジオのドアに手を掛けた。
照明、ほどんど落ちてるじゃん。
ポツンと着いている天井の非常灯だけが、室内をぼんやり照らしていた。
スタジオの中央には、ポツンと立つ莉犬。
その足元には___ぐったりと倒れた人影。
途端、血の匂いが喉を刺す。
僕は固まってしまう。
いや...まさか。
そんなことがある訳____
莉犬の声は掠れていた。
声が震える。
莉犬はゆっくりとこちらを振り返った。
自分でもびっくりするほど冷静な声が出た。
僕は、自分に言い聞かせるように深く息を吸う。
莉犬が目を伏せる。
涙が滲んでいるように見えた。
そう言って、ポケットからスマホを取り出そうとした__
だがその手を、莉犬が掴んだ。
ぐっと奥歯を噛み締める。
その時視界の端で、倒れていた人影がピクっと動いた。
___その瞬間、部屋がパッと明るくなる。
何処からか、なーくんの声が聞こえてきた。
振り返ると、莉犬がさっきまでの涙目を忘れたかのように、くしゃっと笑っていた。
脚の力が抜けて、思わず座り込む。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。