side:🇬🇧
目の前のこの人は途端に黙ってしまった 。
「 記憶が無くて 。」
その言葉に私の能力が発動した 。
この人は今嘘をついている 。
能力による不快感でそれは確実 。
……… の筈なのだが ,
感覚の端で鳥が鳴くような物音が微かになった 。
目線も姿勢も , 何も変えないまま 。
ゆっくりと扉が開いた 。
ただそこにはカナダの姿はとうになく ,
いたのは忌々しい顔をしたあの人だった 。
馴れ馴れしく私の方に手を回し ,
「え最近日本君どーなの ? 元気してた ?」
なんて言い出す始末 。
私に向けられた一言は
「紳士の化けの皮剥がれてるよ (笑」
のみ 。
日本さんが急に何かを感じ取ったように固まった 。
? どうしたんでしょう私の顔に何か ?
まさか 。私は紳士ですよ , そんな訳がない 。
そう言ってようやくフランスが退出した 。
というかカナダ … 逃げましたねあの人 。
机に置いていた手を下ろし ,
もう一度しっかり座り直す 。
顎に手を当てて真剣に考える彼 。
何が奇妙で , 何が面白いかって 。
彼はこの話をしている間嘘をついていない 。
私の能力が反応していない 。
世間話のような会話では貴方には嘘しかなかったのに ,
摩訶不思議な会話では一切乱れが混じらない 。
私が知らない貴方の情報を全て抜き取ってやる 。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!