気がついたら、隣国にいた。
本当に何を言っているのか分からないだろうが、隣国にいたのだ。何故か。
みぞれは自分の状況を改めて分析する。
黒魔法集団ソティル。その戦いの中で、自分はワープ魔法を使われ、どこかに飛ばされた。
そしてその先にあったのが、隣国の王城だ。
だとしたら、先に飛ばされてしまっていたラテ先輩が心配だ。
ラテ先輩も同じようにここに飛ばされているとしたら。
街の看板を見る限りだと、ここは東の方の隣国の
『ベルベット』
幸い、母国語は同じ。
なら話は通じるだろうか。
焦りに焦っているみぞれをよそに、人の波は押しては返しを繰り返す。
そして、気がついたら何人もの兵隊がみぞれの前に現れ
膝をつき、『国王様がお呼びです』と訳の分からないことを告げた。
通された部屋は、明らかに貴人の通されるような、上品な調度品ばかりの部屋で。
そして、目の前の、この国の国王だと言う男から告げられた言葉は、信じられないものだった。
信じるか。そんなこと
しかし、自分の母親とは似ても似つかない青い瞳は、この父親を名乗る男とまったく同じ色をしていた。
みぞれは、自分の母がこの国の生まれであることは知っていた。
だから、その話を聞いたときも、それほど驚きはしなかった。
だが続いて語られた内容には、さすがに言葉を失った。
母は、彼がまだ皇太子だった頃の恋人だったというのだ。
しかし母の家は子爵家。王家と結ばれるには、あまりにも身分が低かった。
そのため、他の貴族たちによって家は意図的に追い詰められ、やがて没落してしまった。
行き場を失った母は、隣国へと流されることになったという。
そしてそのとき、母のお腹の中にはすでに子どもがいた。
――その子どもこそが、みぞれだった。
なんで母は言ってくれなかったのか。というか、そもそもなんでこのタイミングでこんなことを伝えられたのか。なんでワープして連れてこられたのか。
なにも分からない。何も身に覚えがない。
ラテは、自分に押し潰されているあの憎たらしい先輩を見下ろす。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。