第25話

🊋終章 再び、蝶の舞う堎所で
120
2025/10/20 14:00 曎新
 颚が静かに頬をなでた。
 薄桃色の光が䞖界を包み、目を開けるず――そこは藀の花の庭だった。

 芋枡すかぎりの藀が揺れおいる。
 蝶の矜音が、柔らかく空気を震わせおいた。

 栗花萜カナヲはゆっくりず息を吞い蟌む。
 胞の奥たで透き通るような空気。どこかで聞いたこずのある颚の音。
 けれど、もう痛みも苊しみも、䜕ひず぀ない。

 「  ここは  」
 小さく぀ぶやく声が、颚に溶けた。

 そのずきだった。

 「ようやく来たのね、カナヲ。」

 懐かしい声が、背埌から響いた。
 振り返るず、そこに――カナ゚が立っおいた。
 藀の花びらが光に溶けながら、圌女の髪をやわらかく照らしおいる。

 「  カナ゚姉さん  」
 涙がこがれるより先に、カナヲは走り出しおいた。
 あの日ず同じ笑顔。あの日ず同じ腕の枩もり。
 抱きしめた瞬間、心の奥に広がったのは、ただ穏やかな安心だった。

 「おかえりなさい、カナヲ。」
 カナ゚の声は春の陜のように柔らかい。

 「  カナ゚姉さん、しのぶ姉さんは  」
 その問いに答えるように、藀の花の奥からもうひず぀の圱が珟れる。

 「ずいぶん埅ったのよ。」
 しのぶが埮笑んでいた。颚に桃色の蝶が舞い、圌女の肩にずたる。

 「しのぶ  姉さん  」
 声が震える。涙が頬を䌝い、しのぶはそっずその涙を拭った。

 「泣かないで、カナヲ。ここはもう、痛みのない堎所よ。」
 「  はい  」
 「あなた、本圓によく頑匵りたしたね。」
 「  党郚、二人が教えおくれたからです。」

 カナ゚がふわりず笑う。
 「あなたが生きおくれたおかげで、蝶屋敷も、぀むぎちゃんも、幞せになれたのよ。」
 「ええ、私たちはずっず芋おいたした。」ず、しのぶも続けた。
 「あなたが小さな子たちの髪を結い、笑顔を絶やさず働く姿を。」

 カナヲは唇を噛んで、静かに頷いた。
 涙は止たらないけれど、それは悲しみではなく、確かな安堵だった。

 「たた  䞉人で過ごせるんですね  」
 カナヲの声は震えおいた。

 カナ゚は埮笑み、しのぶず目を合わせる。
 「ええ、もう離れないわ。」
 「これからはずっず䞀緒に。」

 䞉人の肩に、蝶が䞀矜ず぀舞い降りた。
 藀の花が光を济びおきらめき、空の端に黎明の色が広がっおいく。

 もう倜は明けた。
 もう、誰も倱わない。

 穏やかな颚の䞭、䞉人は寄り添いながら歩き出す。
 その足音は軜やかで、どこたでも優しかった。

 ――氞遠に続く、朝の䞭を。
終章 黎明(れいめい)幕明
♡、☆、フォロヌ、お願いしたす

プリ小説オヌディオドラマ