1人強い兵士がいるという報告が
ずっと流れていた。
しかもそれは女のような姿。
─────まさか、なんて思っていたけど
考えて仕舞ったら体が動かなくなる為
目の前の敵だけに集中していた。
そんな時だった。
目の前で兵士が殺られて、
そこに立っていたのは
紛れもない、俺の大好きな人だった。
彼女も吃驚した様で、
ナイフを持つ手がだら、と下がるが
それでもぎゅ、とまたナイフを握って言った。
覚悟を決めたように、彼女はそう言って
苦虫を噛み潰した様に笑った。
辛く、苦しそうな顔をしているのに、
それでもまだ強く振る舞う。
そんな君の姿を見て、
スパイなんかじゃないって、やっぱり分かった。
お互い走り出すタイミングは同じで、
正直勝敗なんて考えてなかった。
いつもみたいに、俺は殺られるって思ってた。
なのに、
斧があなたの体を引き裂いた。
君のナイフは俺の斧に当たらなかった。
…いや、君は攻撃しなかった。
そんなこと、すぐに分かる。
俺の斧で致命傷を負ったあなたは
がく、と崩れ落ちた。
でも、悔しそうじゃなくて
いかにも満足そうな顔をした君に少し苛立った。
…俺を殺して、生きて欲しかった。
次は勝つ、なんて。
こんな次だと思わないじゃないか。
そんな気持ちは留まることを知らず、
どんどん視界がぼやけていく。
そう言ってあなたも泣きながら、
ナイフを手から放した。
カラン、という音が聞こえた瞬間。
鳴り響く銃撃が
俺の体を突き抜いた。
…そりゃ、こんなに隙だらけの奴を
見逃すはずも無いか。
なんて
俺も崩れ落ちて、最期に手を伸ばし、
あなたの手をぎゅっと握った。
───── 最底辺な終末を ℯ𝓃𝒹












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!