ピロンッ
星奈「ひっ…あ…」
スマホの通知音が、怖い
あの日
慈音と名乗った少女と出会った日から、私の思考は過去の記憶で埋まっていた
いじめられていたということ
自分の想像は無価値だと言われたこと
それに唯一意味をくれたのは緋梨だということ
そして…
もう一度過去の記憶を消し去るには、私は音楽をしなければいけないということ
でもどうしてか、体は言うことを聞かない
お風呂やトイレとか、どうしてものどが渇いた時以外、私はベッドから一歩も外に出れなくなっていた
ここから出たらあいつらにいじめられる
ここから出たら価値を否定されてしまう
そんなことはないはずなのに
どうしてもそう思い込んでいて
吐き気と戦いながら、スマホに手を伸ばす
通知は、緋梨からのLINEだった…
親に没収されていたはずなのに、はやいな
嘘だ
でも、緋梨にこれ以上迷惑を掛ける訳にはいかない
いつもなら緋梨の言葉になにかツッコんでいただろう
でももう、そんな気力はなかった
♪~
緋梨から電話がかかってきた
星奈『もしもし…』
緋梨『もしも…ってまって
星奈、声どうしたの!?』
星奈『え?声?』
緋梨『声ガサガサだよ…どうしたの…?』
緋梨の言葉を聞いて、そういえば3日前からほぼ飲食をしていないことに気づく
星奈『あはは、寝起きだからだよ…w』
緋梨『そっか…』
笑うのすら無理やりすぎて
絶対緋梨に怪しまれてるだろうなとは思いながらも
もう何も気にすることができなくなっていた
緋梨『…星奈
星奈は今、幸せ?』
星奈『え…?』
突然の緋梨の質問に、一瞬固まる
でももう、言うことは決まっていた
昔から私が言っていた"強がり"
緋梨が、何度も聞いたであろう私の"弱音"
星奈『幸せ…だよ…?』
緋梨『…わかった
今からそっち行くから、まだ行かないで』
静かに、緋梨は私にそう伝えて電話を切った
星奈「ッ…やっぱり…緋梨はずっと…どんなときでも優しいんだね…」
緋梨
涼野緋梨は…私の親友
彼女の親は"厳しい"
でも、彼女は優しくて、私のことを大切にしてくれた唯一の親友…
彼女の夢は、私と小説を書くこと
そして、私の夢も、彼女と小説を書くこと
そのはずだったのに
どうして彼女は…私が音楽をやるのを許してくれたのだろうか…
私の過去を知っていたとして…音楽のことまで許してくれるなんて…
私、こんなに我儘だったんだ…
緋梨、いつもごめんね
"また"、私を"救って"よ…













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。