収録終わりの楽屋。
ジェシー「腹減った〜!」
樹「うるさ」
髙地「今日長かったねぇ」
いつも通り騒がしい空間。
その中で。
慎太郎「……つかれた」
ぽつ、と零れた声に。
5人が同時に振り向いた。
慎太郎「……え」
大我「今」
北斗「声」
樹「低くなかった?」
慎太郎「は?」
慎太郎自身は分かっていない顔。
でも確かに。
少し前より、
声が低くなっていた。
ジェシー「え、待ってもう一回喋って!」
慎太郎「やだよ!!」
髙地「あはは、意識すると恥ずかしいやつ?」
慎太郎「違うし!」
……あ。
今。
最後ちょっと高かった。
数秒後。
樹、大爆笑。
樹「待って、“違うし!”だけめっちゃ幼かった」
慎太郎「〜〜っ!!」
ジェシー「不安定だ〜!」
大我「可愛いねぇ」
慎太郎「可愛い言うな!!」
耳真っ赤。
最近。
慎太郎の声は少しずつ変わり始めていた。
低くなる日もあれば、
急に高い声に戻る日もある。
本人はそれがかなり気になるらしく。
慎太郎「……変じゃねぇ?」
小さく呟く。
その瞬間。
楽屋が静かになった。
北斗「別に」
慎太郎「……でもさ」
樹「成長してるだけだろ」
ジェシー「大人の階段〜♪」
慎太郎「茶化すなって」
でも。
不安そうだった。
中3。
子どもでも大人でもない時期。
変わっていく自分に、
少し戸惑ってる年頃。
大我「慎太郎」
慎太郎「ん」
大我「今しか聞けない声ってことじゃない?」
慎太郎「……は?」
髙地「たしかに」
樹「レア期間じゃん」
慎太郎「なんだそれ」
北斗はソファに座る慎太郎を見ながら、
ふっと笑った。
北斗「まぁでも」
慎太郎「?」
北斗「ちゃんと大人になってってる感じする」
慎太郎「……!」
ぱっと目が開く。
慎太郎は、
北斗のそういう言葉に弱い。
樹「うわ、顔分かりやす」
ジェシー「嬉しいんだ〜♡」
慎太郎「違ぇし!!」
……あ。
また高くなった。
全員吹き出す。
慎太郎「笑うなぁ!!」
ソファのクッションを投げる慎太郎。
でも。
5人は楽しそうに笑うだけ。
髙地「でもほんと、成長したよねぇ」
大我「前までこんな小さかったのに」
慎太郎「小さい言うな!」
ジェシー「ほらまた高い!」
慎太郎「うわぁぁぁ!!」
ついに慎太郎が顔を隠してしゃがみ込む。
北斗「ははっ」
慎太郎「北斗まで笑うなよぉ……」
その声は少し拗ねていて。
でもどこか甘えていた。
北斗「大丈夫だって」
慎太郎「……なにが」
北斗「どんな声でもお前は慎太郎だろ」
慎太郎「……っ」
一瞬止まる。
それから。
慎太郎「……ずる」
北斗「何が」
慎太郎「そういうこと言うの」
樹「お、照れてる照れてる」
慎太郎「うるさいっ!!」
真っ赤になって騒ぐ慎太郎を見ながら、
5人は思う。
きっと数年後には、
この声も大人になっていく。
でも。
今だけの、
不安定で幼いこの時期も。
たぶん、
一生忘れられない。
fin.











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!