白 side
VOISINGの建物から飛び出し、咄嗟に細い路地裏に駆け込む。
知り合い誰一人にも今は会いたくない。
勘づかれたくない。
力が抜けたように、その場にしゃがみ込む。
違う。
こんな風になりたかったんじゃない。
昔みたいに、仲良く、近い距離感で、親友として……
どす黒い嫉妬心が、もくもくと心に広がる。
違う。りうらのことは大好き。いむくんも。ほんとに。
変な意味はない。純粋に好きなだけ。
ただ僕は……っ。
いちばんの相方として、隣にいたかっただけ。
水 side
初兎ちゃんの姿が見えなくなった途端、初兎ちゃんの言った言葉が頭の中で木霊した。
違うよ。
りうちゃんも初兎ちゃんも大好き。
……そんなこと言っても、今の君は信じてくれないかな。
確かに最近はりうちゃんばかりだったかもしれない。
でも、2人の愛に差なんてない。
大事なメンバーなんだから。
本当はね、分かってた。
リスナーさんが、「最近いむしょー少ないね」って、気にしてるの。
絡まなくなったきっかけなんてなかった。
ただ、りうちゃんとの仲が急激に良くなっただけ。
初兎ちゃんのこと、嫌いになった訳じゃない。
辛い時も、しんどい時も、悩んでる時も。
隣にいたのは─────────初兎ちゃんだった。
初兎ちゃんの笑った顔が、何よりも好きだった。
でも……最近は2人きりで笑い合うことなんて、なかったね。
初兎ちゃんは、寂しかったのかな。
相方っていう位置を、りうちゃんに取られてるんじゃないかって、不安になってたのかな。
恋とか、そういう感情じゃなくて。
伝えたい。
初兎ちゃんが大好き、って。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。