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第1話

雨 1/4
55
2024/07/02 07:22
中也side

「雨」





俺は雨は嫌いじゃない。
俺だけが傘も持たずに外を歩けて、この世界でたった一人であることを突きつけられる、その刺すように冷たい孤独感が好きだった。
でもこの頃、やたらと外で太宰に会う気がする。
見かけるだけなら今までも何度もあったが、気づけば彼奴はこちらを見ていた。
雨の中では、俺だけが濡れないで歩いている。
全ての水滴が、俺を避けるように降り注いでいる。
誰も俺には触れられない。
誰にも、この束の間の平穏を壊すことはできない。
そう、思っていたのに。





太宰
太宰
中也っ!
ぽん、と太宰の手が俺の肩に乗る。
同時に重力操作の異能が解除され、あっという間に俺は濡れ鼠になった。
中也
中也
っ……手前…何しやがる……!
いつもの調子で怒鳴ろうとして振り返った時、そこにいつもの太宰はいなかった。
傘も持たず全身を濡らして、今にも泣きそうな表情でこちらを見ていた。
中也
中也
太宰……?
太宰
太宰
……やめてよ…
ゆっくりと、太宰が後ろから俺を抱きしめる。
暖かい、俺よりも大きな体が、小刻みに震えていた。
太宰
太宰
そんなのまるで…君が人間じゃないみたいじゃないか……!
中也
中也
……太宰
普通なら蹴り飛ばしているところだが、今日は大人しく抱きしめられることにした。
特に特別な理由があったわけではない。
何となく、そうしないと…もう二度と会えないような気がした。
主
「雨」は登校中に思いついてあと三つになる予定です、、!
主
次回は多分太宰さん視点になります!
主
では、おつあよです!!

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