流星side
久しぶりに一番風呂に入った。
いつもは駿たちが入るからなんだか特別な気分。
ぽかぽかやしいつものお風呂と変わらんのに新鮮な気持ちになってちょっと幸せ。
いい湯やったな〜と嬉しい気持ちのまんまお風呂からあがって、体も拭いてパジャマを着た瞬間、地面がグラッと揺れた。
流星
「うわッ」
最初はのぼせただけかと思ったけどずっとグラグラするのがおさまらなくて地震だと悟る。
立っとくのが怖くてしゃがんで揺れを待っとったらバチンッと電気が切れた。
うそ、停電…?
まだ揺れとるし…。どうしよう。
補聴器をつれる前に地震が来たせいで音は聞こえへんし真っ暗で全然見えへんし余震なのかなんなのかまだグラグラしとる。
もっと揺れがひどくなったらどうしよっ!
ここにあるタンスが倒れたら絶対死んじゃう、やだっ!たすけて、どうしよう…っ!!
マイナスなことしか考えられなくて、動きたいのに動けなくて。自分の呼吸がはやくなるのがわかっても止められなかった。
流星
「ひっ、は、は、ぅ…っ」
聞こえへんからリビングにおるはずの大にぃたちがどうなってるかもわからんくて不安は募るばかり。
苦しくて苦しくて堪らくんなってバタンと横に倒れた。
流星
「はっ、だ、にぃっ、ふ、ひゅ、ひゅーッはあっ」
もお、むり、かも……っ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!