(怪我完全完治)
怪我が完治して自分の屋敷に帰った日、郵便受けに一枚の紙が入っていた。
紙を捲ると、こう書いてあった。
あなた
この前、一緒に出かけるって言ったの覚えてる?
明日空いてたら一緒に街に行こう。
空いてたらお返事ください。
返事待ってる。
無一郎
そして私は手紙の返事を書き、あなたの鎹鴉の足に手紙をくくりつけた。
あなたの鎹鴉は飛び立っていき、私は明日の準備を始めた。
【翌日】
無一郎さんは忘れっぽいので、なんで覚えてくれていたんだろうと思ってそう聞いてみた。
無一郎さんはいつの間にか私の手を握っていて、手を引いていて歩き始めた。
無一郎さんは耳元でそう囁いて、笑み曲がりながらそう言った。
…無一郎さんに聞こえちゃったかな?
その言葉と共に無一郎さんは前を向いて、私の手を握りながら歩き始めた。
お店の中に入ると、そこには簪や耳飾り、中には普段手に入らないような雑貨があった。
目の前にあったのは、影浅葱色の簪と、壺菫色の簪だった。
無一郎さんは影浅葱色の簪を手に取り、お会計を済ませていた。
↑勘違いしてる店主さん
そう言って無一郎さんは二つの簪を差し出し、照れ臭そうにしていた。
無一郎さんはもう一つ、黒く小さい球体を私の掌に乗せた。
無一郎さんのところへ行くと、耳たぶがちくっと痛んだ。
無一郎さんは申し訳なさそうな顔をしながら耳飾りをつけてくれた。
無一郎さんとお揃い……
無一郎さんは優しく微笑み、私の隣に並んで歩き始めた。
あの後、あまり会話はなかったけどその沈黙が逆に心地よくて、それを楽しんでいたら屋敷に着いてしまった。
無一郎さんは寂しそうな目をしながら私を見つめ、手を軽く振っていた。
そこで、私は無一郎さんと別れた。
影浅葱

※壺菫















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。