第5話

〈4〉恐怖心
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2024/06/06 13:28
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
後ろ…向き?
しのぶside
いつも通り、カナヲは何も言わないと思っていた
だから話した
あなたの下の名前のことがわかるかも
カナヲが自分の考えを口に出せるかも

まさか本当にそうなるとは思ってもいなかった
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
はい
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
認められていないと分かったら認められるよう、努力するのが“普通”ですが
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
あなたの下の名前は認められるようにではなく、認めてもらえないのであれば諦める
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
そういう思考なのだと思います
カナヲがこんなにも話すことにも驚きだが、その言葉にも驚いた
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
カナヲは何故、そのようなこと気付いたのですか?
そのときのカナヲの言葉はノイズがかかったかのように上手く、聞き取れなかった
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
――。
けれど、そう言ったカナヲの顔があまりにも苦しそうで聞き返すことは
出来なかった
不死川実弥
不死川実弥
帰る
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
あら、もうお帰りになるのですか?
NOside
縁側に座っていたあなたの下の名前は不死川の言葉に、後ろを振り返った
不死川実弥
不死川実弥
ここにいたってあなたの下の名前の口が開くわけじゃねぇってことだ
不死川はよっぽどイラついているのだろう


言葉に棘を感じてしまう
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
でしたら今晩は、あなたの下の名前を蝶屋敷で預からせて頂きます
胡蝶が何を考えているのか、不死川にもあなたの下の名前にも分からない
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
よろしいですか?
誰に聞いているのかは視線を見ればわかるものの、胡蝶の言葉でさえも棘を感じてしまうあなたの下の名前は高速で頷く
不死川実弥
不死川実弥
それじゃあ俺は帰る
そう言って立ち去っていく不死川の背中は、何故だかとても小さく見えた
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
お館様があなたの下の名前と話したい…と言っていましたよ
胡蝶はそれだけ言うと縁側から去っていった
あなたの下の名前はもう、その背中は見なかった
(なまえ)
あなた
桜の呼吸…参の型、
(なまえ)
あなた
桜散り切り


















































竈門炭治郎
竈門炭治郎
…あ!
炭治郎side
何となく目が覚めてしまい、月でも見ようかと庭へ出ると小さな攻撃音が聞こえてきた
誰か、一人で鍛錬でもしているのか?

なんて呑気に考えながら見てみると
(なまえ)
あなた
あ、竈門…炭治郎くん?
俺の名前を確かめるように呼んだあなたの下の名前さんに、俺はゆっくり近づいた
竈門炭治郎
竈門炭治郎
炭治郎でいいですよ
(なまえ)
あなた
あ、それなら私もあなたの下の名前で良いし
敬語とか使わなくていいから
竈門炭治郎
竈門炭治郎
ありがとう!
まるで、声は怯えているような声で
あなたの下の名前から強い恐怖の匂いがした
表情や言葉は優しく、笑顔なのに
その裏に隠れている感情の正体が
とても気になってしまった
咲夜
咲夜
チョット早クシナイト
御館様怒ルヨ
(なまえ)
あなた
わかってるって!!
きよ
きよ
えっと…?
次の日の朝、起きれば蝶屋敷の入口でこんなやり取りをしていた
神崎アオイ
神崎アオイ
早く行ってください!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
き、きよちゃんこれはどういう状況?
きよちゃんは泣きながら説明する
きよ
きよ
アオイさんと朝ごはんを作ってたら風柱様の鎹鴉とあなたの下の名前さんの鎹鴉が来て、
きよ
きよ
鬼殺隊本部にあなたの下の名前さんが呼び出されているのになかなか行かないから困ってるって言われて…
きよ
きよ
今頑張ってるみたいなんですけど、
きよちゃんの言葉になんて返せばいいのか分からなかった
明らかに俺が突っ込んでいい規模の話では無い
(なまえ)
あなた
みんなさぁ
ずっと「わかってる」と繰り返していた
あなたの下の名前がいきなり言った
(なまえ)
あなた
どうして諦めないの?
アオイさんから表情が消えていく
神崎アオイ
神崎アオイ
それは…
気付けば俺はあなたの下の名前の方へと一歩

近付いていた
竈門炭治郎
竈門炭治郎
あなたの下の名前のことを応援してるんだよ
竈門炭治郎
竈門炭治郎
信じてるんだ
竈門炭治郎
竈門炭治郎
きっと御館様の所へ行って、しっかりと話をするってね
そのとき見たあなたの下の名前の顔
泣きそうな顔だった
でもやはり、
俺の鼻は強い恐怖心を示していた
𝐍𝐞𝐱𝐭…🌸⚔️

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