あなた side
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24時間後。
あなた 「ふわぁ……っ、はぁぁぁーっ……」
欠伸と一緒に、盛大にため息を漏らす。
結局、凪とも玲王とも一言も話せないまま。
無意味に時間だけが過ぎ、
気がつけば、もうキックオフの時間が目前まで迫ってきていた。
あなた (……だって、気まずいじゃんか……)
玲王は凪のことをライバル視していて。
凪は凪で────……
……うん。
話さなすぎるんだよ。彼は。
元々言葉数は少ない方だけど……
言葉が足りないせいで、
お互いの認識にずれが生じている。
…………多分、色々。
あなた 「………………。」
無意識に進んでいた試合会場に向かう足を止め、
まだ誰もいない廊下の壁に背を預ける。
あなた (なんかこの状況、前にもあったような……)
あぁ。そうだ。
──────あの時と、同じだ。
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冴 「消えろ。凛。」
真っ黒な鎌倉の空一面に吹雪く、
大粒の白い結晶。
凛 「兄…………ちゃ……、」
キャリーケースを引くお兄ちゃんの姿が、
ゆっくりと遠ざかってゆく。
凛 「待ってよ……!ねえ……!」
凛 「姉ちゃん…………!!」
凛 「姉ちゃんまで……、いなくなったら…………」
凛 「俺は─────…………。」
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?「おい。」
あなた 「!」
突然 後ろから降ってきた、聞き覚えのある声。
左肩に片手を置かれ、現実に帰ってくる。
あなた 「……、烏さん……」
もう、振り返らずとも誰だか分かる。
私は背中を向けたまま、
きっと後ろにいるであろう、その人の名前を溢した。
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烏 side
あなた 「……、烏さん……」
後ろを向いたままのチビは、
力なく俺の名前を呟いた。
烏 「…………」
こっち見ろよ。
振り向けよ。
でも、その願いは叶うことなく。
小さな背中は変わらず、こっちに向けたままで。
烏 「……んで。」
烏 「結局、どっちにつくん?」
切り替えて、軽い世間話でもするような口調に設定して、
俺の真下で俯く脳天に話しかけた。
あなた 「…………、」
それでも、依然として彼女の口は開かぬまま。
何か話そうとする意思は窺えるも、
喉元まで出かかった言葉を押さえ込んでいるみたいだ。
烏 「……あのなぁ、」
コイツに振り返ってもらうことは諦めて、肩に置いていた手を下ろす。
そして壁に寄りかかり、天井を仰いだ。
烏 「俺は捻くれ者やから、」
烏 「自分の思考回路は よぉ分かれへんけど。」
小さな背中は、変わらず動かない。
烏 「どっちか片方の味方をしろ言われた時に……」
烏 「どっちの味方もするっちゅう選択肢は、」
烏 「自分の中には あれへんのか?」
あなた 「……!」
すると、チビの肩がぴくりと動いた。
分かりやすく動揺の色が後ろ姿に映る。
その反応を確認した俺は、さらに続けた。
烏 「多分やけど お前、」
烏 「綺麗事とか。」
烏 「善とか。」
烏 「悪とか。」
烏 「そういうの関係なしに─────……」
烏 「ただ、凪と玲王が大切なだけ。」
烏 「なんやろ?」
あなた 「、…………!!」
そこで、初めて。
アイツは俺の方を振り向いた。
烏 「っ、//」
っしゃ、と心の中で握り拳を作りかけていたのも束の間。
振り返って俺を見上げた、その瞳が。
あまりにも綺麗なターコイズの瞳が、俺の次に続く言葉を詰まらせる。
あなた 「……すごいですね、烏さん。」
烏 「、は?」
久々に発言したと思ったら、そんな思いもよらない賞賛の言葉が飛んできて。
思わず聞き返してしまう。
あなた 「本当に、その通りだったので。」
あなた 「さすが分析屋……」
烏 「ハッ。こんなん見りゃ誰だって分かるやろ。」
つい つんけんした態度で返してしまった自分を、後から悔やむ。
しっかしこんなところで役立つなんて、分析屋も捨てたもんじゃない。
烏 「ええやろ。どっちも応援したって。」
あなた 「!」
今度は、真っ直ぐ前を見て。
ちゃんと、俺の話を聴いてくれる。
あなた 「……でも、どっちか選べないだなんて 綺麗事───」
烏 「あのな。」
少し屈んで、チビと目線を合わせる。
烏 「俺は別に、どっちも大切な人やから選ばれへんちゅうことに対しては特に何とも思えへん。」
あなた 「、……え?」
烏 「それよか、」
烏 「どっちの味方もするのが悪いことっちゅう考え自体が。」
烏 「綺麗事や言うとんねん。」
目の前のチビは黙って俺の目を見ながら、次の言葉を待っている。
……そないに見つめんとってや。
烏 「あの面倒臭そうな白い奴も。ちょんまげの紫の奴も。」
烏 「お前にとっては大切な、元チームメイトで。」
うんうんと頷き、小さな頭を上下に動かす。
烏 「2人と築いた半年間の……」
烏 「思い出の価値は、変われへんのやろ?」
あなた 「〜っ、……、っそうです…………ッ……」
喉の奥から絞り出された、今にも壊れそうな声。
その反応は、図星という解釈でええんやろか。
まるで見えない何かと戦っているように、
俯いているこのチビの頭に。
自分でも驚くほど、
自然に。
無意識に。
手を伸ばして、撫でる。
あなた 「、ぇ……?か、烏さ……」
烏 「それが自分の本音なら、それが答えや。」
チビの頭に置いた手を少しずつ下ろし、
顔にかかっていた髪を耳にかけてやる。
うん。
そっちのがええ。
烏 「お前が両方応援したところで、」
烏 「凪と玲王が何か言うとは 俺は到底思われへん。」
烏 「お前がアイツらを大切に思う気持ちは、」
烏 「アイツらだって同じや。」
あなた 「……!」
烏 「尊重せぇへん訳あらへんやろ。お前の考えを。」
大きな目を更に大きく見開いたまま、固まって動かないチビの肩に両手を乗せる。
……は?
幅無さ過ぎやろ。
烏 「もっと肩の力抜いてみろ。」
烏 「所詮、マネージャーなんてただのサポートに過ぎへん。やるのは選手や。」
あなた 「、」
そう言うと少し口を尖らせて、小さな口をさらに小さくする。
そないに怒んなて。
知っとるで。
お前は、頑張ってる。
せやけど、
ここまで言わへんと、お前は頑張りすぎるから。
烏 「お前は人の気持ちを考え過ぎや。もっと楽しめ。」
廊下の奥から話し声が聞こえてくる。
まばらな足音が、だんだんと大きくなってきた。
ほら、もうじき始まんで。
お前の大好きな、 “サッカー“ の試合が。
烏 「だって、お前は─────……」
“サッカーしとる系の男“ なんかやのうて。
烏 「 “サッカー“ が。」
烏 「好きなんやろ?」
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今回のお話を読んだ後、もう一度152話を読んでみて欲しいです……!
余裕があれば是非149話も……()
烏がいかにあなたちゃんのことちゃんと見てるか分かりますよ😭













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。