第5話

零世界と時間世界
1
2024/06/26 12:00









だから言ったのだ










白い世界で俺はやつの声を聞く
姿は見えない
真っ白な世界に俺は1人佇む










なぜ邑佐陽飛を助けた









_桜威焚亜@さくらいたくあ_
桜威焚亜さくらいたくあ
そりゃアイツには死んで欲しくないから










そのせいで、お前は死ぬことになるんだぞ









_桜威焚亜@さくらいたくあ_
桜威焚亜さくらいたくあ
それであいつが救われるなら俺はいい










自分を、犠牲にしてまで人を救う理由がわからない









_桜威焚亜@さくらいたくあ_
桜威焚亜さくらいたくあ
なんとでも言え
_桜威焚亜@さくらいたくあ_
桜威焚亜さくらいたくあ
俺は俺のしたいことをした
_桜威焚亜@さくらいたくあ_
桜威焚亜さくらいたくあ
これは、俺の自由だ










やはり、意味がわからない










ここで俺はずっと感じていた疑問をぶつける
_桜威焚亜@さくらいたくあ_
桜威焚亜さくらいたくあ
なあ、ここはなんなんだ










ここは生と死の狭間、いわゆる境界線だ









そうだなぁ、こういっておこう



零世界










_桜威焚亜@さくらいたくあ_
桜威焚亜さくらいたくあ
なるほどな
_桜威焚亜@さくらいたくあ_
桜威焚亜さくらいたくあ
じゃあ早く俺をここから出してくれ
声主は少し考え
答えた











わかった、これが最後のチャンスだ










声主はそういうと、パチンという音を立てる
俺は、意識を失った








5月26日金曜日
目を覚ますと知らない天井
体の感覚もある
……………戻ってきた
俺は辺りを見渡す
ベッドの横には布団に顔を埋めた陽飛さんと俺の母さん
俺は起き上がろうとする
痛い
全身が痛い
医者
医者
安静にしていてください
ドアの方を見ると医者はこっちに向かって歩いてきていた
声が出ない
声を出すだけで体が痛い
これは、しばらく話せないですかね
医者
医者
そうですね
陽飛さんは顔を埋めたまま動かない
俺は頭の方に手を伸ばす
俺は少し躊躇いながら頭に触れる
そして、頭を撫でる
陽飛さんは小刻みに震えている
泣いているのか
俺は痛いのをこらえて
_桜威焚亜@さくらいたくあ_
桜威焚亜さくらいたくあ
陽飛、さん
痛い
やっぱり痛い
でも
_桜威焚亜@さくらいたくあ_
桜威焚亜さくらいたくあ
怪我、なさそう、で、よか、った
陽飛さんはその言葉を聞いてぴくりと動き
声を上げて泣いた
5ヶ月
無駄にした
目覚めてから5ヶ月
10月28日の昼頃
ベッド付近の私物を全て回収し撤収する
5ヶ月もかかるなんて思ってなかった
陽飛さんが失踪するまで残り3ヶ月半
失踪当日は陽飛さんとずっと一緒にいた方がいい
陽飛さんを尾行している奴もいるかもしれない
陽飛さんが危ない時は俺が止めなくては
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