朝、目覚めると
知らない天井が
目の前にあった。
隣には見知らぬ女。
裸の自分、
散乱した衣服と下着。
それを見て、
「またか」と思った。
知らない女と、
身体を重ねるのは
これが初めてじゃない。
あの日を忘れたくて、
酒を飲んだら誰かが話しかけてきて
目が覚めたらいつもこう。
それに慣れてしまった
自分を嘲笑しながらも、
適当に服を着て外へ出た。
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・
・
世の中の人間は、
だいたい二つに分けられる
“ 追う者か追われる者か “
俺はもちろん、
「追われる者」に該当する。
恋愛的な意味でも、
生存的な意味でも。
鬼という生き物は
「桃太郎」に追われる。
クズ男という生き物は
今まで遊んできた「女」に追われる。
どちらにせよ、
俺は追われる運命だった。
けど世界で一人だけ、
追われる側だった俺が
唯一、追った男が居た。
“ 星喰 魁利 “
俺と清歌の同期であり、
俺の___ “ 元 “ 相棒。
外を歩く俺の前に
あるバイクが停止する。
黒いヘルメットを外し、
俺の視界に映ったのは、
髪をハーフアップに結び、
白藍の瞳を持った男。
こいつが星喰魁利だ。
そう悪態をつきながら
魁利は俺にもう一つの
ヘルメットを投げた。
ヘルメットを着けて
バイクに跨がる。
すると魁利はエンジンを
全開にしてバイクを走らせた。
こいつの前では、
変に猫を被る必要もない。
素でいられる。
こうやって軽口を叩きながら
バイクに乗るのが、
俺たちの唯一の平和な日常だった。
日常だったはずなのに。
平和な日常は、
魁利が何も言わず
失踪してから
あっけなく終わった。
生きているのか
死んでいるのかすら
わからない。
あいつが残した
バイクを見つめながら
一人、煙草を吸った。
苦くて甘いはずの煙草は
なぜか、少ししょっぱかった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!