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第102話

# 番外編 【日常の終わり】
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2026/05/15 13:45 更新






    朝、目覚めると
    知らない天井が
    目の前にあった。
    隣には見知らぬ女。
    裸の自分、
    散乱した衣服と下着。
    それを見て、
    「またか」と思った。


 .
 服どこいったかね… 


    知らない女と、
    身体を重ねるのは
    これが初めてじゃない。
    あの日を忘れたくて、
    酒を飲んだら誰かが話しかけてきて
    目が覚めたらいつもこう。
    それに慣れてしまった
    自分を嘲笑しながらも、
    適当に服を着て外へ出た。


   ・
   ・
   ・


    世の中の人間は、
    だいたい二つに分けられる
    “  追う者か追われる者か  “
    俺はもちろん、
    「追われる者」に該当する。
    恋愛的な意味でも、
    生存的な意味でも。




    鬼という生き物は
    「桃太郎」に追われる。
    クズ男という生き物は
    今まで遊んできた「女」に追われる。
    どちらにせよ、
    俺は追われる運命だった。

    けど世界で一人だけ、
    追われる側だった俺が
    唯一、追った男が居た。


    “  星喰 魁利ほしばみ かいり


    俺と清歌の同期であり、
    俺の___ “ 元 “ 相棒。




星喰魁利
 ………あなた? 
 こんなとこで何してんだ 



    外を歩く俺の前に
    あるバイクが停止する。
    黒いヘルメットを外し、
    俺の視界に映ったのは、
    髪をハーフアップに結び、
    白藍の瞳を持った男。
    こいつが星喰魁利だ。


星喰魁利
 香水の匂いキツイぞ 
星喰魁利
 また女のとこ
 行ってたのか? 
 .
 さあね〜 
星喰魁利
 またそれかよ 
 面倒くせぇな



    そう悪態をつきながら
    魁利は俺にもう一つの
    ヘルメットを投げた。


星喰魁利
 乗れ、送ってく 
 .
 気が利くね〜 
星喰魁利
 お前に言われると 
 腹立つな



    ヘルメットを着けて
    バイクに跨がる。
    すると魁利はエンジンを
    全開にしてバイクを走らせた。


 .
 二人乗りに 
 法定速度超過 
 .
 見つかったら
 言い逃れ出来ないねー 
星喰魁利
 見つかんなきゃ 
 いい話だろ
 .
 ははっ、それもそうだね 



    こいつの前では、
    変に猫を被る必要もない。
    素でいられる。
    こうやって軽口を叩きながら
    バイクに乗るのが、
    俺たちの唯一の平和な日常だった。




  









    日常だったはずなのに。









 .
 ……なんで、
 失踪するかね 



    平和な日常は、
    魁利が何も言わず
    失踪してから
    あっけなく終わった。
    生きているのか
    死んでいるのかすら
    わからない。
    あいつが残した
    バイクを見つめながら
    一人、煙草を吸った。
    苦くて甘いはずの煙草は
    なぜか、少ししょっぱかった。



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