K(任務……)
ターゲットが店内に復帰した。
何かしようとして、ベルモットに言われたことを思い出す。
【いい?貴方はターゲットと不必要に話さないで。
ボロが出るわ。】
【…じゃあ、何をする】
【隠し場所だけ突き止めてきてちょうだい。】
(……無理)
普通、何か組織に目をつけられるようなことをする人間は
警戒心が強い。
それに、客の前で何かをするわけがない。
そもそもこのバー内で何か行動を起こす確証もないし
百歩譲ってバックヤードだろう。
『…どうかしました?』
コルンがターゲット……店主的なポジにいる女性をずっと見ていると
あなたのバーでの名前が声をかけてくる。
K「あの女……」
『ああ…オーナーですか?
彼女に御用ですか?』
K「…いや、別に。」
バーで店主的な位置にいる人間がなんと呼ばれるのかは知らないが
少なくともあなたのバーでの名前はオーナーと呼んでいるみたいだ。
…この店での立ち位置がわかった、
小さな収穫だろう。
最も、このレベルの情報は
ジンがすでに手に入れているはずだ。
K「あいつ……どんなやつ」
『え?オーナーですか?
…そうですね、ミステリアスというか……』
ずっと笑顔ですよ、と返される。
…人は見かけによらない、と思ってしまう。
さて、
どう接触するべきか。
『気になるんですか?
話してみます?』
K「……いや……」
話したところで変に怪しまれるだけだ、と
コルンがためらっていると
あなたのバーでの名前が思わぬ提案をしてくる。
『もしかしてルークさん人見知りですか?』
まだ聞き慣れない偽名に反応が遅れた。
K「…まぁ、」
人と話すのは確かに得意ではない。
『わかった!
あの人が気になるけど、自分からは話せない……そうですね?』
推理を初めて当てた探偵のように
彼女は得意げに笑った。
K「……まぁ、そう」
少し勘違いをされている気がするが
今はそれに便乗したほうが好都合な気がする。
『じゃあこういうのはどうでしょう、
私が代わりにオーナーとたくさん話して、どんな人か教える!
好きな食べ物とか、好みのタイプとか』
K「………あなたのバーでの名前に、なんの特がある?」
やはり少し勘違いはされているものの
コルンにとってはこれ以上ない条件だ。
逆に、あちら側にメリットがないため
何か企んでるのではと思わず疑ってしまう。
性格上。
『……う〜ん、じゃあ交換条件にしましょう。』
K「…交換条件、?」
『はい。今度こそ上着か荷物、預からせてくださいね!』
ずっと気にしてたみたいだ。
K「…分かった。」
所有物を渡すのは気を許すみたいで
どうも慣れないが、
情報を得るのが最優先だ。
コルンは頷いた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!