あべちゃんの意識の中
??「…聞こえてますか?」
佐久間母「私は佐久間大介の母です。
実は…あなた…阿部さんにお話し
たいこと、お願いしたいことがあって
今、阿部さんの意識に話しかけて
います。」
佐久間母「いいえ。大丈夫よ。
よく知っているわ…あなた、阿部家のこ
とは。
実は…あなたに謝りたいことがあるの。」
佐久間母「ええ。
あなたのご両親を殺したのは
夫と私なの。」
佐久間母「夫と私は10年前にあなたの目の前で
ご両親を殺した。
本当は殺したくはなかった。
でも夫の命令で殺すしかなかった。
本当にごめんなさい。」
佐久間母「実は…あなたのお父様は夫…佐久間家の
使用人だったの。
主に夫の仕事の身の回りのお世話を
していたの。」
佐久間母「ええ。
そうよ。
ある日、夫はあなたのお父様に
命令を出した。
それは…人間界に行くこと。
あなたのお父様が仕事で人間界
に行ったとき、恋に落ちたの…
あなたのお母様に。
吸血鬼界では人間の娘に恋をする
のはタブーな行為なの。」
佐久間母「本当にごめんなさい。
まだ話には続きがあって…
ある日、あなたお父様は屋敷を出たい
と言い出したの。
理由を聞いたら、こう答えたわ。
……あの人間の娘と結婚すると。
それを聞いた夫は激怒したの。
それに人間の娘に恋するなんて、吸血鬼
界では…言語道断。
死刑に当たるぐらい罪が深いのよ。」
佐久間母「ええ。
佐久間家では当主の命令は絶対。
…だから、夫があなたのご両親のこと
許さずに…夫が私に命令して二人で
殺した。
これは"しきたり“なの。
代々続いているね。
一度でもタブーを犯すと、一族から
抹殺するのが、佐久間家の代々引き
継がられているしきたりなの。」
佐久間母「殺す前にお願いがあるの…。
お願いを聞いてもらえないかしら…?」
佐久間母「ええ。
大介は私たちがあなたの…阿部さんの
ご両親を殺したことは知らないはず。
だからお願い。大介だけには伝え
ないでください。
大介のことだからもし聞いたらあなたと
別れようとするに間違いない。
大介の笑顔を守りたい。
そして、絶対に大介と幸せになって。
絶対に、二人で生き延びて。
最後に…お願い。
息子とお話しをさせてください。」
佐久間母「今、阿部さんは命を狙われてい
ます。
我が夫に。」
佐久間母「佐久間家を出て刃向かった一族は排除
する。
それが初代から引き継がれてきた最も
大事にされて来た決まりごとだから。」
佐久間母「ええ。
だからあなたも阿部の血を引く者。
抹殺の対象になるの。
でも、阿部さんは大介のことを愛して
くれている。
阿部さんのような人を私は殺されたく
ない。
お願い。大介と一緒に夫から逃げて。」
佐久間母「阿部さん…。
絶対に生きてくださいね。
あなたのご武運をお祈りしています。
…息子と話してきますね。」
佐久間母「その言葉だけで充分に嬉しいです。
ありがとう。」
佐久間母「はい。
そうですね。」
佐久間の意識の中
??「…大介、聞こえる?」
??「私は…あなたの母です。
本当ならもう一度この腕で抱きしめたい。
でも…もう叶わない願いなの。」
佐久間母「私はもう長く生きられないのです。
最期に…あなたのことを一番愛して
いるわ。
亮平くんと幸せになるのよ。
母は…お空から見守っています。
じゃあね…大介…。」
…佐久間の声は、母親には届かず… 。
俺は腕を広げているあべちゃんの胸に飛び込んだ。
亮平の優しく透き通る声と優しいぬくもりが俺の溢れる涙が止まらず…俺は亮平の胸の中で泣き続けた。
遅くなりました!
すみません!
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!