第66話

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2024/01/25 13:08 更新
あべちゃんの意識の中





??「…聞こえてますか?」
あべちゃん
……あなたは?
佐久間母「私は佐久間大介の母です。
     実は…あなた…阿部さんにお話し
     たいこと、お願いしたいことがあって
     今、阿部さんの意識に話しかけて
     います。」
あべちゃん
…大介のお母様ですか!?

…申し遅れました。

俺、佐久間大介さんとお付き合いしていただいている阿部亮平と申します。


挨拶もできずに申し訳ありません。

でも、どうして大介のお母様が私に?
佐久間母「いいえ。大丈夫よ。
     よく知っているわ…あなた、阿部家のこ
     とは。
     実は…あなたに謝りたいことがあるの。」
あべちゃん
…謝りたいことですか…?


俺に…?
佐久間母「ええ。 
     あなたのご両親を殺したのは
     夫と私なの。」
     
あべちゃん
えっ…。

大介のご両親が俺の両親を殺した…?


一体どういうことですか?
佐久間母「夫と私は10年前にあなたの目の前で
     ご両親を殺した。
     本当は殺したくはなかった。
     でも夫の命令で殺すしかなかった。
     本当にごめんなさい。」
あべちゃん
…何で…何で…両親殺したんですか?

俺の両親なんか悪いことしましたか…!?


俺の両親は二人とも優しくて…いい人だったのに。

…どうして!?
佐久間母「実は…あなたのお父様は夫…佐久間家の
     使用人だったの。
     主に夫の仕事の身の回りのお世話を
     していたの。」
あべちゃん
父が…元々、佐久間家の使用人?
佐久間母「ええ。
     そうよ。
     ある日、夫はあなたのお父様に
     
     命令を出した。
     それは…人間界に行くこと。
     あなたのお父様が仕事で人間界
     に行ったとき、恋に落ちたの…
     あなたのお母様に。

     吸血鬼界では人間の娘に恋をする
     のはタブーな行為なの。」
あべちゃん
父が…ただ母を好きになったせいで両親は殺されたんですか…?


理不尽な理由で…。
佐久間母「本当にごめんなさい。

     まだ話には続きがあって…
     ある日、あなたお父様は屋敷を出たい
     と言い出したの。
     
     理由を聞いたら、こう答えたわ。


     ……あの人間の娘と結婚すると。



    それを聞いた夫は激怒したの。
  

    それに人間の娘に恋するなんて、吸血鬼
    界では…言語道断。

    死刑に当たるぐらい罪が深いのよ。」
あべちゃん
…そんな。


たまたま父が母と出会っただけなのに。

それで…両親を殺したんですか!?
佐久間母「ええ。
     佐久間家では当主の命令は絶対。


     …だから、夫があなたのご両親のこと
     許さずに…夫が私に命令して二人で
     殺した。


     これは"しきたり“なの。

     代々続いているね。


     一度でもタブーを犯すと、一族から
     抹殺するのが、佐久間家の代々引き
     継がられているしきたりなの。」
あべちゃん
そのしきたりのせいで…俺の両親を殺したのか!?


今、何処にいる!?

姿を見せろ。

必ず俺の手であなた…お前たちを殺す。
佐久間母「殺す前にお願いがあるの…。
     お願いを聞いてもらえないかしら…?」
あべちゃん
お願い…?
佐久間母「ええ。
     大介は私たちがあなたの…阿部さんの
     ご両親を殺したことは知らないはず。
     だからお願い。大介だけには伝え
     ないでください。
     大介のことだからもし聞いたらあなたと
     別れようとするに間違いない。
     大介の笑顔を守りたい。
     そして、絶対に大介と幸せになって。
     絶対に、二人で生き延びて。

     最後に…お願い。
     息子とお話しをさせてください。」
あべちゃん
大介のことは絶対に幸せにする。


それに…生き延びる?


どういうことだ。
佐久間母「今、阿部さんは命を狙われてい
     ます。
    我が夫に。」
あべちゃん
命を…。

どうして?
佐久間母「佐久間家を出て刃向かった一族は排除
     する。
     それが初代から引き継がれてきた最も
     大事にされて来た決まりごとだから。」
あべちゃん
そんな…。

だから俺の両親は…。
佐久間母「ええ。
     だからあなたも阿部の血を引く者。
     抹殺の対象になるの。
   
     でも、阿部さんは大介のことを愛して
     くれている。
     阿部さんのような人を私は殺されたく
     ない。

     お願い。大介と一緒に夫から逃げて。」
あべちゃん
俺は…逃げません。
戦います。
こんなチャンス二度と起こらないかもしれないので。
大介のことは絶対に守り抜きます。

だから…安心してください。
佐久間母「阿部さん…。
     絶対に生きてくださいね。

     あなたのご武運をお祈りしています。

     …息子と話してきますね。」
あべちゃん
…はい。

…大介を産んでくれてありがとうございます。

あなたが大介を産んでくれたから好きな人に出会えました。

両親を殺したことは許せないかもしれない。

だけど、あなただけは許せる気がします。

佐久間母「その言葉だけで充分に嬉しいです。
     ありがとう。」
あべちゃん
また…何処かで会えたらいいですね。
佐久間母「はい。
     そうですね。」
佐久間の意識の中
??「…大介、聞こえる?」
佐久間
…あなたは?
??「私は…あなたの母です。
   本当ならもう一度この腕で抱きしめたい。

   でも…もう叶わない願いなの。」
佐久間
母さん…?

どういうこと?

…何言ってるの?
佐久間母「私はもう長く生きられないのです。

     最期に…あなたのことを一番愛して
     いるわ。

     亮平くんと幸せになるのよ。

     母は…お空から見守っています。


     じゃあね…大介…。」
佐久間
…母さん?

母さん…!

お願いだから返事して…!


俺のそばから離れないで…!
…佐久間の声は、母親には届かず… 。
佐久間
…母さんっ。(泣)
あべちゃん
…大介?
佐久間
亮平…っ!(泣)

さっき、母さんが…っ。

もう長く生きられないって…。
あべちゃん
…っ。

大介…大丈夫だから…ね?


おいで…?
俺は腕を広げているあべちゃんの胸に飛び込んだ。
佐久間
…母さんっ。

わぁぁぁぁぁぁっ…!
あべちゃん
大介…思い切り泣いていいからね。
亮平の優しく透き通る声と優しいぬくもりが俺の溢れる涙が止まらず…俺は亮平の胸の中で泣き続けた。
遅くなりました!
すみません!

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