通路を挟んだ席に座る梨菜が、はあっと息を吐いた。
小さくため息をついたけどバイトをキャンセルする勇気が無かった自分を、ますます恨めしく感じる。
隣に座る北斗くんが、控えめな声で訪ねてきた。
と、北斗くんがボソリ。
口数が少なく、表情が変わらない彼とは、どうやっても会話がはずみそうにない。
無理に話したいわけじゃないけど、隣で黙りっぱなしも気まずい。
お、会話が続いた。無口男子なりに気を遣ってくれたのだろうか。なんか、すんません。
今となれば嘘みたいだ。自分たちが、家族旅行をするような仲のいい家族だったなんて、最近じゃ信じられない。
別に父親の借金や、母親の浮気とか、深刻な問題があるわけじゃない。だけどクダラナイ家族だ、とわたしは思う。
笑い合うことより、文句を言うこと、相手を否定することに力を注いでいる家族。
『あなたと結婚したせいで、わたしは—―—に会えなかったのよ』
ふいに、お母さんの尖った声を思い出し、わたしはそれを頭から追い払った。
会話はそこで終了した。
しばらく押し黙っていると、梨菜が通路のむこうの席から声をかけてきた。
見せて〜!と、せがまれたのでわたしはバックから小さな封筒を出して渡した。なんだ?と横からのぞきこんだ樹が、
と中を見ていった。
ちょっと変なとこで切ります!ごめんなさい!














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。