第142話

Ep.140 君との出会いを 幸運 と呼ぼう
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2026/02/25 10:01 更新



* side スタンリー





あの日、あなたと初めて会った日。
俺はただの任務で、そこにいた。



元 特殊部隊幹部。

現在は裏社会の
ブローカーとして動いている人物。


その男が
このエリアに頻繁に出没している
という報告が上がっていた。


今回の目的は、あくまで情報収集。
実働は、別のやつらが担当する予定だった。





スタンリー
  ……しばらく様子見か   



周囲の人間の動きに異常はない。
すべて、予測の範囲内。


……その、はずだった。


あなた
  ♪ 〜             



不意に聞こえた音に視線を向けると
そこには、一人の少女がいた。



──── それが、あなただった。



細い指が、弦をなぞる。
喧騒の中でも目を引く歌声。



理解できない感覚だった。

その女は危険でも
脅威でもない。

それなのに何故か
俺はそいつから視線を外せなかった。


歌が終わると、
女の視線が真っ直ぐに俺を見る。




おそらくその瞬間、



任務の優先順位がわずかに狂った。





⟡.·



  その翌々日。


.
  Hey, come with me. I know a good place. 一緒に来いよ、いい場所知ってるぜ 
My friends are there too.俺の仲間も一緒だしな



あろう事か、

例のブローカーが
その女に話しかけていた。


あくまで任務内容は情報収集。
接触は避けるべき事案。

つまりは、放置が最適解だった。





だが、



スタンリー
  その辺にしとけよ   



気づけば
男と女の間に割り込んでいた。

本来、ありえない判断だった。


そしてさらに
ありえないことが起きる。



あなた
  逃げよう!!   
スタンリー
  は?   



俺の返答も待たずに
あなたは俺の手を取って走り出す。

その目には、意外にも
恐怖や焦りは微塵もなかった。


あなた
  やっばぁ……めっちゃ走った……!   
あなた
  あはは!こんなんいつぶり?   
スタンリー
  ……バカだろ、アンタ  



拙い英語で話しながら
俺の手を掴んだまま、そいつは笑う。


心の底から、楽しそうに。

見た目に反してイカれたやつか。
はたまた肝が座りまくってるか。


そんなのは
別に、どちらでもよかった。


あなた
  お兄さんに会えたのが
私の幸運だったと思う!



たしかなことは
俺の中に生まれたイレギュラーは

この、名前も知らない
日本の歌姫がもたらしたってことだ。




✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼




スタンリー
  幸運、ね……    



すぐ側で倒れている女を
ただじっと見下ろした。

まさか、3700年も先の未来で
こんな形で再会するとはな。




マヤ
  これ当分足止めねぇ、通信機直すまで   
スタンリー
  .....いや、 


スタンリー
  止まんねぇ   



もう、やりきる以外ねぇ。


ゼノを奪還する。
それが俺に課された仕事だ。


スタンリー
  通信機捨ててでも
今すぐ秒速で敵本陣を殲滅する……!



⟡.·



  少年科学団の本陣を
ほぼ壊滅まで追い込んだところで

すぐ近くまで迫り来る石化の光。


目の前にそびえ立つのは
復活液が置かれたタワー。



千空たちは
石化後に仲間の一人が

あの復活液シャワー浴びて、勝利すん気だ。



撃たなきゃ、確実な負け。

撃ちゃ、人類滅亡と引き換えに
ワンチャン勝てる。





そして銃を構え
引き金に指をかけた、その瞬間。




スタンリー
  ……っ!!   




衝撃。






手元から銃が弾かれる。


地面に落ちた銃に
視線を向けると、




銃を貫くように突き刺さった






一本の矢。





矢の放たれた方に顔を向ければ、


















あなた
  ……あはは


あなた
  間に合ったねぇ……   



血に濡れて

今にも崩れ落ちそうな身体で
弓を構え続けている、あなたがいた。




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