第138話

Ep.136 それぞれの 理由の中に
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2026/02/20 10:00 更新


あなた
  ……はい、できたよ!   
  うん。ありがとう   



司くんと氷月の肩に包帯を巻き終えて
背中にそっと手を当てた。


外からは、みんなが最終決戦に向けて
砦を造っている音が聞こえる。


氷月
  スタンリー君との戦い、   
ふたりはどう見ますか



すでに包帯を巻き終えていた
氷月が問いかける。


あなた
  司くんも氷月も、スタンリーに
撃たれた傷は万全じゃないでしょ
あなた
  できれば前線には
出て欲しくないとこだけど……
  けど、こちらのアタッカーは、
他にコハクと羽京、それにマックスと……



司くんは背中を向けたまま
私へ振り返った。


  出来ればあなたには、無茶をして   
欲しくないところだけどね
あなた
  む、それは戦力外ってこと?   
  いいや、君はもう充分な戦力を   
持っているからこそだよ
  それに、  






  どちらかと言えば
これは、個人的感情の話かな



そう言って、司くんはじっと私を見た。



そして、


あなた
  ……ゎっ!   



そのまま
その大きな身体で、私を抱きしめる。


その力は
思ったよりも優しくて

まるで壊れ物を
扱うみたいだった。


  俺が初めて会った時からは
比べようのないほどに、君は強くなった
  だからこそ、君は無茶をする   
 


  これはただ、君を失いたくない
という俺のエゴを言っているだけだ



司くんの腕が
ほんの一瞬だけ、わずかに強くなる。


けれどすぐに
何事もなかったかのように
そっと身体を離した。





  ……すまない、
少し感傷的だっだかな
あなた
  うぅん  
あなた
  ……ありがとう   



首を振り、
そっと司くんの胸に手を当てると

司くんは微笑んで
服を着直してから小屋を出た。




氷月
  ……全く、
私は何を見せられているのやら



肩をすくめて、
氷月はじっと私を見た。



そうしてそのまま腕をのばして










私の頭にポンと手を置いた。


氷月
  それに君は、無茶をするなと言っても   
止まるタチではないでしょう


氷月
  ですから、せめて   



氷月は少しだけ身を屈めて
私と視線を合わせる。


氷月
  自分がどれほどの影響を
周囲に与えているのか、
その自覚くらいは持っていてください
あなた
  影響……?  
氷月
  えぇ   



氷月
  君が傷つけば、動きが鈍る者がいる   
氷月
  君が倒れれば、判断を誤る者がいる  



大袈裟だよ、と笑おうとしたのに。


氷月の目は
冗談を言っている時のものではなかった。


氷月
  科学王国の要は
もちろん千空クンですが、
氷月
  彼を前に進ませている理由の中に  
きっと、君もいるのでしょう


あなた
  ……そんなこと、ないよ  



氷月
  さて、どうでしょうね   



否定も肯定もせず、氷月は手を離した。


氷月
  ともあれ、 





氷月
  どうか、自分を
粗末に扱わないでくださいね



その言葉を残して
氷月も小屋を出ていった。


ひとり残された空間で、私は小さく息を吐く。


守りたいと言ってくれる人がいて。
守られるべきだと言ってくれる人がいる。





でも、私だって同じように
みんなを守りたい。





小屋の扉を開けると
風が吹いて、
咄嗟に髪の毛をおさえる。





そうして、視線を前に向けると




千空
  終わったか?  


こくんと頷くと


千空はそれ以上、何も聞かなかった。


ただ、
当たり前みたいに背を向けて


千空
  来い、仕事だ   



そう言って歩き出す。


まるで、私がそこにいることが
最初から当然だったみたいに。

あなた
  うん……!   


返事をして、
私はその背中を追いかけた。




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        それぞれの、守る理由の中に
あなたがいる。


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