司くんと氷月の肩に包帯を巻き終えて
背中にそっと手を当てた。
外からは、みんなが最終決戦に向けて
砦を造っている音が聞こえる。
すでに包帯を巻き終えていた
氷月が問いかける。
司くんは背中を向けたまま
私へ振り返った。
そう言って、司くんはじっと私を見た。
そして、
そのまま
その大きな身体で、私を抱きしめる。
その力は
思ったよりも優しくて
まるで壊れ物を
扱うみたいだった。
司くんの腕が
ほんの一瞬だけ、わずかに強くなる。
けれどすぐに
何事もなかったかのように
そっと身体を離した。
首を振り、
そっと司くんの胸に手を当てると
司くんは微笑んで
服を着直してから小屋を出た。
肩をすくめて、
氷月はじっと私を見た。
そうしてそのまま腕をのばして
私の頭にポンと手を置いた。
氷月は少しだけ身を屈めて
私と視線を合わせる。
大袈裟だよ、と笑おうとしたのに。
氷月の目は
冗談を言っている時のものではなかった。
否定も肯定もせず、氷月は手を離した。
その言葉を残して
氷月も小屋を出ていった。
ひとり残された空間で、私は小さく息を吐く。
守りたいと言ってくれる人がいて。
守られるべきだと言ってくれる人がいる。
でも、私だって同じように
みんなを守りたい。
小屋の扉を開けると
風が吹いて、
咄嗟に髪の毛をおさえる。
そうして、視線を前に向けると
こくんと頷くと
千空はそれ以上、何も聞かなかった。
ただ、
当たり前みたいに背を向けて
そう言って歩き出す。
まるで、私がそこにいることが
最初から当然だったみたいに。
返事をして、
私はその背中を追いかけた。
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それぞれの、守る理由の中に
あなたがいる。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!