驚いている私を見下ろして、
火神先輩はふっと小さく笑った。
うまく言葉が出てこない。
昨日のこととか、火神先輩のこと考えてて寝れなかったなんて言えない……
私が黙り込むと、火神先輩は軽く溜め息をついて
私の横に立った。
慌ててボールを渡すと、火神先輩は片手でボールを持ち上げ、そのままドリブルをして見せる。
ドンッ ドンッ ドンッ
力強くて、無駄のない音が響き渡る
ポスッとボールを返されて、火神先輩が言う通りにやってみる
火神先輩はニカッと笑う
その笑顔に私も頬が緩む
シュートを打とうとして、体勢を屈めると
火神先輩の大きな手が、私の手の甲に重なる。
火神先輩の体に包み込まれるような感覚に、私の心臓が耐えられない
加えて両手も包まれているせいで、ほとんど身動きが取れない
火神先輩は一瞬私の方を見て、気がついたのか
言葉を失っていた
火神先輩の手が離れる。
その後も何度がシュートの練習をしていると、ふと火神先輩が
火神先輩と練習してると、あっという間に時間過ぎちゃうな〜……
っていうか私、私服じゃん!?
2人でコートをでて、一旦お互いの家に向かう。
その間は他愛もない話をして過ごしたが、私も火神先輩もどこか上の空だった気がする……
そう言って火神先輩も私も家に入った
私はすぐに着替えて、火神先輩からのLINEを待った
しばらくして、『もう外でる』とLINEが来たので『はい!』と返事をして私も外に出る
火神先輩とこうして二人で歩くのは、もう何度目か分からない
話していたらあっという間に校舎が見えてきた
下駄箱前で、火神先輩と別れた
その日の放課後の練習中、体育館の入り口から誰かが中を覗いていることに気がついた。
入部希望なのかなと思いつつ、とりあえずリコ先輩に報告した
特に気にすることもなく、部活に戻り
そのまま練習が終了した
すると
入り口の所にいた人だ……!
というか、黄瀬さんって、、
思わず名前を口に出すと、黄瀬さんはパッと顔を輝かせた。
──シャラランッ
本当に、効果音が聞こえた気がした。
爽やかすぎる笑顔に、目が眩む
去年の今頃って……
海常高校VS誠凛高校の練習試合のことかな
なんだかすごい人だな……
あっという間にみんなの中に入ってる、、
そう言いながら、黄瀬さんは何かゴソゴソしながら私の前に立った
カバンから雑誌を取り出して言った。
私は少し驚いて、えっと……としか言いようが無かった
弾丸のように次々に言葉を投げ掛けられて、返事が追いつかない
しかもモデルって……
グイッと一気に距離を縮めてきた黄瀬さんに、少し戸惑っていると……
思わず火神先輩の方を見ると、
黄瀬さんも「ん?」ときょとんとした顔をして火神先輩を見る。
黄瀬さんがニコニコと笑いながら尋ねる。
でも火神先輩は、その笑顔にイラついたように視線を逸らして、
威圧的じゃないが、どこか棘のある言い方だった
黄瀬さんは少しからかうように言った
めちゃくちゃ必死に否定する火神先輩とは裏腹に、どこか楽しそうな黄瀬さんを見て思わず、
少し吹き出してしまった
すると、
その言葉に、全員がグッと息を飲んだ
そう言って黄瀬さんは体育館に背を向けた
「うっす!!お疲れ様でしたー!」
という掛け声が体育館に響いたあと、それぞれ更衣室に向かった
私も更衣室に向かい、制服に着替えた
着替えて外に出ると
火神先輩、今日は待っててくれてる……
それだけ言って私の少し先を歩く
また二人で一緒に帰れて嬉しい……!
何度も高鳴る胸を抑えながら、火神先輩の隣に向かった












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!