第72話

akg 幽霊部員 (※)
775
2024/06/06 13:48
赤城視点   (※夢主が幽霊、微グロ)
赤城ウェン
あれ、あの子は部員さん?ですか?
入学してまだ間もない頃、部活動の紹介をしている時。
先輩に対して僕はそう問いを投げた。
と、言うのも、その時は美術部を見ていて他の部員は
真剣に取り組んでいる様だが、端っこにただキャンバスと
向き合って椅子に座っている子が居たからだ。
えーもしかしていじめってやつ?と思ったが、どうやら
違うらしい。
先輩はびくっと驚いた顔をして肩を震わせ、
声を潜めて言った。
モブ
…君、見えるんだね?
赤城ウェン
え?
モブ
…因みに見た目は?
赤城ウェン
えと、綺麗な黒髪ロングで…
あ、こっち見た。
その時、バタンッ!!とクラスメイトの一人が倒れた。
一瞬何が起きたのか分からなくて、間を置いて
皆が騒ぎ始めた。
僕は思わず、もう一度彼女を見る。

深く、吸い込まれそうな程に綺麗で大きな瞳に
困った様な笑みを浮かべていた。
あの子は昔、この学校の美術室で自殺したらしい生徒、
らしい。
らしい、と言うのも当時顔が誰か分からないほどに
ぐちゃぐちゃにされていて、酷い状態だったそう。
それからたまに視える生徒がいるらしいが、どれも
顔までは見えなかったと。
…そこにきて僕が見た目を言ったからか、分からないけど
人が失神した。
それからは彼女の呪いだなんだと言われ、
今や僕は浮いた存在になってしまった。
いやちょっと寂しすぎー、と思って、放課後に美術室に
行って文句の一つでも言ってやろうとした。

近付いてみると、やっぱり綺麗だなと見惚れてしまう。
そしてやっぱり、困ったみたいな、笑顔を浮かべてる。
赤城ウェン
…こんにちわぁー。
いい天気だったねー。
あなた
そうね。
あ、喋っ…喋れるの!?結構可愛い声だ。
でも、どことなく冷たい雰囲気がする。
赤城ウェン
…ね、名前なんて言うの?
あなた
聞いてないの?
赤城ウェン
聞いてない。
だってウン十年前だって、
その間に何故か火事とか起きた
らしいから燃えて無くなってるって。
あなた
…今、年号は?
赤城ウェン
えーっと、___。
あなた
…そう。
もうそんなに経つの。
赤城ウェン
…で、お名前は?
あなた
聞いても意味ないわ。
赤城ウェン
僕が聞きたいから意味あるでしょ。
あなた
…アナタ、おかしな人ね。
赤城ウェン
そうかなぁ?
あなた
…まぁいいわ、私はあなた。
赤城ウェン
あなたの下の名前ちゃんって呼んでもいい?
そう言うと、すっごい冷たい目を向けられた。
あなた
…アナタ、本当におかしいと思うわ。
赤城ウェン
えー、だってどうせ僕
クラスで浮いてるしぃー…
そっちだって座りっぱなしで
暇でしょ?喋ろー?
あなた
………まぁ、いいわ。

プリ小説オーディオドラマ