赤城視点 (※夢主が幽霊、微グロ)
入学してまだ間もない頃、部活動の紹介をしている時。
先輩に対して僕はそう問いを投げた。
と、言うのも、その時は美術部を見ていて他の部員は
真剣に取り組んでいる様だが、端っこにただキャンバスと
向き合って椅子に座っている子が居たからだ。
えーもしかしていじめってやつ?と思ったが、どうやら
違うらしい。
先輩はびくっと驚いた顔をして肩を震わせ、
声を潜めて言った。
その時、バタンッ!!とクラスメイトの一人が倒れた。
一瞬何が起きたのか分からなくて、間を置いて
皆が騒ぎ始めた。
僕は思わず、もう一度彼女を見る。
深く、吸い込まれそうな程に綺麗で大きな瞳に
困った様な笑みを浮かべていた。
あの子は昔、この学校の美術室で自殺したらしい生徒、
らしい。
らしい、と言うのも当時顔が誰か分からないほどに
ぐちゃぐちゃにされていて、酷い状態だったそう。
それからたまに視える生徒がいるらしいが、どれも
顔までは見えなかったと。
…そこにきて僕が見た目を言ったからか、分からないけど
人が失神した。
それからは彼女の呪いだなんだと言われ、
今や僕は浮いた存在になってしまった。
いやちょっと寂しすぎー、と思って、放課後に美術室に
行って文句の一つでも言ってやろうとした。
近付いてみると、やっぱり綺麗だなと見惚れてしまう。
そしてやっぱり、困ったみたいな、笑顔を浮かべてる。
あ、喋っ…喋れるの!?結構可愛い声だ。
でも、どことなく冷たい雰囲気がする。
そう言うと、すっごい冷たい目を向けられた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。