きっと疲れてるんだ。
気味の悪い電話のせいで、過敏になっているだけ、ただの悪戯だよ。
私のため息を考えすぎだと笑い飛ばした同僚に、孤独感と不安は募るばかりだった。
過敏になっているだけ。
本当にそうなのだろうか。
何時に帰ってきても、まるでどこかで見ていたかのように帰宅直後に鳴る電話も。
時々、ポストの中の郵便物がなくなっているのも。
外を歩くといつも、誰かの視線を感じるのも。
全部私の、被害妄想なのだろうか。
スビンになかなか相談できなかったのは、そんな風に真剣に聞いてもらえなかったら、
という恐怖のせいだったのかもしれない。
もはや誰かを頼ろうとする気すら消えかけていた私の、
暗い泥の中に沈みかけていた心を掬い上げてくれたのは、
怒っているのに優しげな不思議な声だった。
初めて私の気持ちを理解してもらえた嬉しさに涙が出て、あの日はスビンを困らせてしまった。
2人で食事をした時はいつも家まで送ってもらっていたけど、次の日の夜から待ち合わせて帰ろうとさえ申し出てくれた。
市民を守るのが警察の仕事だからなんて、照れ隠しだったら、嬉しいんだけど。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。