みこちゃんはツカツカと軽快にスマホ片手に歩んでくる
その顔は恐ろしい程に爽やかな笑顔だった
いるまちゃんがみこちゃんの腕をガシッと掴む。
みこちゃんはくるっと振り向くとパッと微笑んだ。
いるまくんの名前を呼ぶと掴まれた反対の手でスマホの画面を見せた
室内にみだらな様子の音と映像が響き渡った。
俺は恐る恐るいるまちゃんを見ると、顔面蒼白になっていた。
掴んでいた手もいつの間にか解かれている
いるまちゃんは思考が停止したかと思うと我に返ったように掴みかかった。
焦りと羞恥で真っ赤になって襲いかかる
そう言ったみこちゃんは余裕そうに片方の口角を上げた。
みこちゃんが片手をいるまちゃんに乗せたと思った瞬間だった。
いつの間にかいるまちゃんは軽々と宙に舞って、
それとは似ても似つかないほどの鈍い音をたてて地面に叩きつけられた。
思わず声をあげてしまう
叩きつけられたいるまちゃんはピクピクと動いてはいるものの身体を起こすことが出来ないようだ。
いるまちゃんを助けに行こうとしたその時だった
部屋の隅でこちらを睨んでいた彼が口を動かす。
ゆらっと顔を向けたみこちゃんはパッと表情を作る。
怖いくらいに素直な笑顔に見えて俺は思わず鳥肌が立ってしまった。
助けに来た、その言葉に俺の心は状況構わずふわっと浮いた。
やっとこの日常から
解放されるの?
そう言うらんらんの目は鋭く光っていたのと同時に
何かに怯えているようだった。
たんぽぽ…?
この状況に似ても似つかない言葉に思考が止まる
どこまでも変な子なんだなぁ…なーんて
思わず鼻で笑いそうになる
その時だった
らんらんは気が狂ったかのように息を取り乱して枕を投げつけた。
硬くてシミ垂れた白かったであろう枕
拒絶を表すには充分だった
みこちゃんは少し考えると言葉を発す。
彼は優しく俺の腕をつかんだ。
喚くらんらんと困惑するこさめちゃん、呆然と見つめるひまちゃん、蹲るいるまちゃんを残して
廃墟を後にした。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!