ーかげや視点ー
タッタッタッタッタッタッ
なんで…俺は逃げてんだ…
タッタッタッ
なんで…一緒に戦わなかったんだ…
タッタッ…
タッ…
俺は…
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ーー10年前
俺はその日、18歳になった
俺が住んでいた村では、18歳になると村を出て、誰の手も借りず、誰とも関わりを持たずに一人で生きなければならない風習があった
俺は、その村で一番強い男として生まれ育った
だから、大丈夫だと思っていた
…あの日までは
村を出てから3年、俺は狩人として生計を立てていた
俺は毎日、山で獲物を取ってきては、解体屋で肉を売って稼いでいる
『誰とも関わりを持たず一人で生きなければならない』という決まりがあるが、金銭面では最低限の関わりであれば不問だと暗黙の了解があったりする
金がないとまともに暮らせないしね!!!
ほとんど人と関わらないから少し寂しかったりもしたけど、結構充実した生活を送っていた。
そんなある日のことだった
いつもの日課を終わらせ、山奥に建てた小屋に帰る道でのことだった
突然、女の人の悲鳴が聞こえたのだ
俺はすぐさま、悲鳴の聞こえた方へ向かった
するとそこには…
大柄な男が、一人の女性の腕を掴み、今にも連れ去ろうとしていた
そう言うと、男は親指で後ろにあった荷台を指し、
俺は助けようとした
だが出来なかった
『誰とも関わりを持ってはいけない』という掟があったから
そして男が荷台を開けた時
俺は信じられないものを見た
それは…
鎖に繋がれ、ひどく疲弊した獣人の男性だった
刹那、俺の中で何かが『ブチッ』っと切れる音がした
それと同時に、俺の記憶はそこで途切れた
そして気づいた時には…
体を滅多刺しにされ、血だらけになって死んだ男がそこにいた
ふと、自分の手を見た
そこには…
大量の血で汚れた皮の手袋がつけられていた
それを見た途端、体全体がひどい疲労感に襲われた
なんとか状況を把握しようと周りを見渡すと、顔が青ざめ、体も震えてこちらを見ている人物がいた
さっきの女性だった
無事かどうか声をかけようとしたのだが、
『人殺しーーーーーーー!!!!!!!!!!!!』
…その日、俺は悟った
もう二度と他人を
いや…
『人間を信じない』
と…
けれど…
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『出来なかったんだ』
ダッ‼︎
タッタッタッタッ‼︎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
バシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎
『ありがとう…』
バッ‼︎‼︎
キンキンキンキンキンキンキンキンキンキン‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎
スタッ‼︎





















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!