目が覚めて1番に、
普段から憎んでいる愚弟の顔面が見えて
けれど、睨む気力すらなかった
立ち上がり、歩き出そうとしたところを
二刃と七悪に掴まれた
…正直、疲弊しきっていた
きっとあなたは、俺に
睡眠系の毒が効かないと分かっていて
黒い花の毒素と一緒に
体力とかそういうのも取ってしまったのだろう
…毒のみでは心許ないからと
そういう術を教えたのは俺だったし
だからこそ、早く行かねばならない
毒素に見舞われていた
俺の体力を吸ったからと言って
夜桜家の血を受け入れたばかりの
あなたが黒い花に耐えられる確証がない
解毒する術はあったが、
あれは他人の俺だったから出来たことで
自分自身に使う練習をあなたはし切れていない
本格的に、不味い状況
…きっと、辛三や嫌五は六美といる
もしくはあなたを追っているのだろう
それならば好都合。
あとの妹弟たちを拘束し、
すぐにまた姿を眩ませれば…
……そんなこと分かってる
分かった上での行動だ
俺を守ろうと命を賭した最愛を
俺は絶対に連れ戻さなくてはならない
だから…
……六美
……あなた
暗かった俺の人生に、
光を照らしてくれた存在
最初は嫌いだった
六美と俺の家族愛を引き裂く存在
そうとしか、認識してなくて
絆されていく本心を隠し切れないまま
ここまで来てしまって
結局今まで…俺は、
家族とあなたを選択出来なかった
けれど…それだけれど…
拳を握りしめて…そう呟けば…
六美は、『ようやく』と言いたげな
笑みを、俺に向けた
無意識に震える手で押さえていた目元から
頬に一筋、何かが零れた



















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。