私は2階へと続く階段をのぼり、奥の部屋に入っていった。
ここは、父の書斎。
本棚には魔法に関する書物がずらりと並ぶ。
…心が揺れたとき、私はいつもここに来る。
ISTPにとっての、あの海辺みたいなものだ。
本の中から、気まぐれに一冊選ぶ。
今日はーー『回復魔法全集』。
ふと、ISTPの顔が浮かんだ。
どうしてだろう…今日、会ったばかりなのに。
だけどたしかに、胸がほんのりと暖かい。
……数年前、うちの両親は離婚した。
そのときのことは、嫌なくらいはっきり覚えている。
お父さん。
お願い…行かないで。
離れないで。
お願いだから……
……わかってる。
全部、あの法律のせいだ。
お父さんもお母さんも、悪くない。
こんな世界で、
私はどうすればいいんだろう。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。