〜大会二日目〜
二日目の朝は、妙に静かだった。
歓声も、罵声も、
昨日ほど耳に入ってこない。
それがかえって、
この日が「本当の分岐点」────
それぞれが新しい挑戦をする日だと教えてくれる。
〜控え室(医務)〜
芦花はベッドの端に腰掛け、
視界の右端にある観葉植物を眺める。
心は落ち着くはずがなかった。
そこへ、足音。
それ以上、言葉は続かない。
だが、不思議とお互いに
嫌な沈黙とは感じなかった。
似た者同士だからこそ、
無理に埋める必要がない空気。
芦花は、ほんの一瞬だけ目を伏せた。
〜1日目(夜)〜
部屋の照明が芦花の目を刺激する。
その刺激した光を少女は手で覆うことで防いだ。
シェインは軽く芦花の肩を撫で、距離を取る。
芦花はシェインの言葉に頷きながらも、
自分が過去に起こした行動をそっと思い返した。
芦花はしばらく考えた後、
部屋の隅にいるシェインが口を開いた。
芦花は俯きながらそう答えた。
その様子を見て、シェインも・・・
芦花は、すぐには答えなかった。
怖かったからじゃない。
決めきれていなかったのだ。
芦花が出した答えは、
"覚悟"というより"願い"に近かった。
出てきたのは正直な言葉。
芦花はコクリと頷く。
この選択が"逃げ"ではないことを、
シェインは理解していた。
なぜならシェイン自身も
それを少し望んでいたからだった。
言葉を探すように、息を吸う。
短い沈黙がこの部屋を包む。
2人は顔を見合って微笑んだ。
芦花はビクッと体を跳ねさせた。
芦花がベッドの端に座っている間、
シェインはもう軽く、身支度を済ませていた。
芦花はゆっくり立ち上がる。
それだけは、はっきりと決めていた。
二日目に参加する。
それでも、暴走はしない。
その選択がまだ正しいのかどうかは、
まだ分からない。
「仲間を信じて"預ける"芦花」と
「仲間を想って"遠ざかる"シェイン」。
2人は互いに負けないことを誓ったのであった。
パト:side
別の場所。
パトは、廊下の壁にもたれて目を閉じていた。
パトはずっと、昨日の事を思い返していた。

パトはじっと、黙り込んで考えた。
──全員一気には無理だ。
まずは1人から徐々に……。
パトは──誰からにしようか、と
昨日の記憶を辿って適任を探す。

──そして、俺は"前に立つばかり"じゃダメだ。
特に全部を背負うことも出来ないからこそ。
──仲間を信じ、自分が一歩下がる覚悟。
それぞれが、
まだ言葉にしない決意を抱えている。
戦いは、まだ始まっていない。
だが──
2日目は、確実に近づいていた。
第四章〜静かなる覚悟〜END
アンケート
地球防衛軍の"第六部隊"の本拠地がある国はどれ?
アメリカ
11%
中国
11%
スウェーデン
74%
イギリス
5%
投票数: 19票












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。