第54話

第四章48話「前夜の約束と新たな覚悟」(第四章最終回)
75
2025/12/27 13:00 更新








〜大会二日目〜




二日目の朝は、妙に静かだった。

歓声も、罵声も、
昨日ほど耳に入ってこない。

それがかえって、
この日が「本当の分岐点」────
それぞれが新しい挑戦をする日だと教えてくれる。



〜控え室(医務)〜





芦花はベッドの端に腰掛け、
視界の右端にある観葉植物を眺める。
芦花
…………





心は落ち着くはずがなかった。





そこへ、足音。

シェイン
芦花……!
シェイン
起きてたんだ、おはよう
芦花
シェイン、おはよう
芦花
うん、今起きたんだ







それ以上、言葉は続かない。

だが、不思議とお互いに
嫌な沈黙とは感じなかった。

似た者同士だからこそ、
無理に埋める必要がない空気。
シェイン
……昨日さ
芦花
シェイン
一回、目を覚ました後に言ったこと
シェイン
本当?

芦花は、ほんの一瞬だけ目を伏せた。

〜1日目(夜)〜


シェイン
ん……!
シェイン
目……覚ましたみたいだね
芦花
あれ……わ、私は……?

部屋の照明が芦花の目を刺激する。
その刺激した光を少女は手で覆うことで防いだ。
芦花
あ……そういえばっ!
シェイン
芦花選手
シェイン
混乱してると思うけど、
一旦心を落ち着かせて

シェインは軽く芦花の肩を撫で、距離を取る。
シェイン
落ち着いたらでいいからさ、
少しの間、私の話し相手なってよ
芦花
……!



芦花はシェインの言葉に頷きながらも、
自分が過去に起こした行動をそっと思い返した。
芦花
私は……何かしらの原因で
暴走して、結果皆を傷つけた
芦花
詳細までは詳しくわからないけど
そこまでは……記憶にある
芦花
ここから私はどうするか……
暴走した私に皆んなは、
何を……思ってるのかな





芦花はしばらく考えた後、
部屋の隅にいるシェインが口を開いた。
シェイン
落ち着いた……?
芦花
はい、少しは……

芦花は俯きながらそう答えた。
その様子を見て、シェインも・・・
シェイン
まぁ、そうだよね
急にこんな隔離室みたいな所に
入れられてさ
シェイン
テンション下がっちゃうよね
芦花
そういえば……シェインさんはなぜ?
シェイン
ああ、私?
私も似たようなもんだよ
シェイン
能力の都合上、
周りに迷惑かけちゃうんだ
芦花
あ……
芦花
(シェインさん私と似た状況なんだ)
 
シェイン
ねぇ、少し聞きたいんだけど
芦花
……!
シェイン
明日さ
シェイン
──試合、出るつもり?

芦花は、すぐには答えなかった。

怖かったからじゃない。
決めきれていなかったのだ。
芦花
……出たい

芦花が出した答えは、
"覚悟"というより"願い"に近かった。
シェイン
もし暴走したら?
芦花
……怖い、
これ以上仲間を傷つけたくない。

出てきたのは正直な言葉。
芦花
でも……
芦花
"四季開放真打"は使わない絶対に
シェイン
……それは弱体化する、ってこと?

芦花はコクリと頷く。
シェイン
──それ、きついよ
芦花
うん
芦花
それは理解してる、
仲間も自分も辛くなることは……
芦花
(でもここで孤独になると)
芦花
(周りも自分も先に潰れる)
シェイン
……

この選択が"逃げ"ではないことを、
シェインは理解していた。

なぜならシェイン自身も
それを少し望んでいたからだった。
シェイン
(でもその選択をしたら)
シェイン
……私も

言葉を探すように、息を吸う。
シェイン
仲間を傷つけるのが怖い
シェイン
だから明日──私は距離を取る
芦花
……!
芦花
うん、それも、
私とは違う良い選択だと思う
シェイン
……ありがとう
芦花
シェインさんも私に
気を遣ってくれてありがとう
シェイン
シェインでいいよ
シェイン
せっかく今話したんだからさ
芦花
じゃあ私も芦花って呼んで!
シェイン
うん、分かってるよ





短い沈黙がこの部屋を包む。
シェイン
明日芦花が出るなら私達……
芦花
……戦うかもしれないね

2人は顔を見合って微笑んだ。
芦花
その時は、
お互いに成長出来る戦いにしよう
シェイン
確かに、
似た者同士だもんね私達って!
芦花
はははっ!
シェイン
おーい、芦花?
シェイン
聞こえてる?
シェイン
芦花ってば!
芦花
っは!!

芦花はビクッと体を跳ねさせた。
シェイン
もう、ボーッとしてさ……
シェイン
で、結局昨日の言葉は本当なの?
芦花
──うん!本当だよ!
シェイン
ふふっ
シェイン
(急に元気になっちゃって)

芦花がベッドの端に座っている間、
シェインはもう軽く、身支度を済ませていた。
芦花
(昨日の言葉)
芦花
(自分で口にしたはずなのにな)
芦花
(まだ夢の続きみたいだ)

芦花はゆっくり立ち上がる。
芦花
四季開放は、使わない……

それだけは、はっきりと決めていた。

二日目に参加する。
それでも、暴走はしない。

その選択がまだ正しいのかどうかは、
まだ分からない。
芦花
(だけど)
シェイン
(私は)





芦花
(絶対に負けないから)
シェイン
(絶対に負けないから)
 



「仲間を信じて"預ける"芦花」と
「仲間を想って"遠ざかる"シェイン」。


 
 2人は互いに負けないことを誓ったのであった。



パト:side




別の場所。



パトは、廊下の壁にもたれて目を閉じていた。
パト
(二日目)
パト
(負けたら終わり)

パトはずっと、昨日の事を思い返していた。
パト
昨日、チームの崩壊を感じてしまった

パト
ネルの言った理想のリーダーって
パト
少なくとも、
チームメイトの事をほったらかす奴では
ないだろうな、やっぱり
パト
まずは専属神の皆んなと協力したり、
共闘でもしないと絶対に勝てない



パトはじっと、黙り込んで考えた。



パト
となると・・・
パト
仲間の『悩み』や『崩壊している種』を
俺が解決していかないといけないな



──全員一気には無理だ。
まずは1人から徐々に……。



パトは──誰からにしようか、と
昨日の記憶を辿って適任を探す。
パト
……!!
 
パト
──『カナ』だっ!!
 
パト
そういえばカナは
俺についてトップレベルで
詳しいはずだ
パト
俺の心の変化に
気づいているのかもしれない!



──そして、俺は"前に立つばかり"じゃダメだ。
特に全部を背負うことも出来ないからこそ。

パト
(仲間に合わせて任せよう)


──仲間を信じ、自分が一歩下がる覚悟。


パト
それを今日、試してやる


それぞれが、
まだ言葉にしない決意を抱えている。


戦いは、まだ始まっていない。


だが──
2日目は、確実に近づいていた。










第四章〜静かなる覚悟〜END
り。
り。
お久しぶりです!!
り。
り。
第四章終わらせました、
区切りがここでいいのかと
ずっと迷ってたんですが
り。
り。
この先のこと考えると
ここがベストかなって
思いました
 
り。
り。
第一、ニ、三章と比べて
文とか展開とか成長してるなって
感じてくれたら嬉しい限りです✨
り。
り。
9時には間に合いませんでしたが……
 
り。
り。
それじゃあ、2回目のクイズ出しますね
り。
り。
これは前よりも簡単かな?

アンケート

地球防衛軍の"第六部隊"の本拠地がある国はどれ?
アメリカ
11%
中国
11%
スウェーデン
74%
イギリス
5%
投票数: 19票
り。
り。
答えは次の話に載せますね!
り。
り。
ではまた次の機会に〜


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