ラディウス:side
──受けてたつとか言ったけど、
倒したのは俺じゃなくね……?
しかも、結局目的分からないままだし……。
そんなことを心の中で考えていると、
たちまち背後から声が漏れる。
息が荒い。
背後でうずくまるシェインの胸はかすかに
上下しており、落ち着いていなかった。
周りを渦巻く反物質の強さは先程よりも強く、
その姿を見るに今は会話すらままならないだろう。
つらそうなシェインを心配していると、
今度は前方から声がかかる。
ホルボスがそう言うと、
周り全てが暗い空間で覆われた。
咄嗟に後ろを振り返ると
距離が近かったおかげか、
金色の髪がかすかに見える。
様子は未だ苦しんでいるようだった。
ラディウスはシェインの反物質の影響を
ギリギリ受けない範囲で側に移動する。
その瞬間っ!!
豪快な音を鳴らしながら背後から爆発。
その爆発をラディウスは予知してたかの
ようにオーラ光線で跡形もなく相殺した。
暗闇のどこからか声が響く。
周りは暗闇で何も見えない、
もちろん敵も罠も全て。
それら全てが生み出す情報の少なさと
イレギュラーである味方を守るという条件が
──動いたら2人ともやられる──という
厄介な状況を作り出していた。
〜数分後〜
ラディウスは手持ちの銃を暗闇の空間に
撃ちながら若干の焦りを感じた。
ラディウスは光とオーラを纏った足に
力を込め、前方の空間に向かい飛び上がる。
そしてその勢いのまま範囲攻撃を行なった。
刹那、火花が前方から襲いかかる。
そんな状況を見たラディウスは咄嗟に
腕をクロスさせガードの姿勢を取るが・・・
眼中にないかのように火花は、
ラディウスの左右を通り過ぎる。
カキーン。
ラディウスは超スピードで火花を追いかけ、
光の壁でそれらを散らし、防いだ。
──理解した、相手は俺を直接狙わない。
必ず俺の"庇う動作"を誘い出し、
体勢を崩そうとしている。
実際、俺は救うのに慣れているから
こんな状況も初めてじゃない。
だからこそ"本能的"に体が動く、
仕事で慣れているから……。
ラディウスは息を少し乱しながら
暗闇に声を響かせる。
暗闇の中から笑い声と共に
ホルボスは挑発的に話す。
瞬間、ラディウスはニヤリと笑う。
周囲から生まれた光が集まり、
その膨大な量の光がラディウスを包み込む。
ラディウスは軽く深呼吸し、
集中力を徐々に高めていく。
ラディウスは周りの空気を揺らしながら
足に力を込め、暗闇を駆ける。
光を纏った拳は相手を貫く。
相手は俯いたまま動くことはなかった。
静寂が訪れ、暗闇の空間が元に戻り、
ラディウスは荒い息をつきながら、
ボコボコの地面に膝をつく。
──良かった、あの時に場所を探れて……。

──俺が範囲攻撃を仕掛けた時に
周囲に散らした微細な光粒。
アレのおかげで最後の最後で
場所を導き出すことができた。
ラディウスはゆっくりと立ち上がる。
──その瞬間。
カチリ、と乾いた音。
嫌な予感が走り、周りに視線を巡らせる。
──いや、待て。
この状況で狙われるのなんてっ!!
地面を蹴ると同時にシェインの後ろから
爆薬が放たれる。
ラディウスはシェインに対し手を伸ばす。
指先が届く。
ほんの一握りの距離。
──掴んで逃げるっ!!!
体のどこかっ!!掴んでっ!
つか……ん……で……。
刹那、1つの光景が脳裏をよぎる。
その光景とは反物質眼で
ドロドロに溶かされていた
今までの相手、そしてその末路。
本人でも何をしたのか分からない。
だが、事実としてラディウスは……
無意識に手を引いてしまった。
ドーーーン。
彼の眼前で閃光が爆ぜた。
2人に押し寄せるのは爆音と熱風。
シェインの体が徐々に炎に呑まれた。
ある程度落ち着いた後、
ラディウスは煙に対し、声をかける。
──生きててくれっ!
そんな中、土煙の中からシェインが現れる。
血を流し、肩を抑えながらもまだ
うずくまった体勢のままだった。
だが、その姿は臆病さの証とでも言うように
酷くラディウスの目に焼き付いた。
──反物質の効果が少し収まっている。
多少マシになったみたいだな。
シェインはボソボソと呟いた。
その声には、少しの震えと渇望が滲んでいた。
──なんだよ、それ。
結果的に最高の結果とはなってない、
ただ現状維持し続けているだけじゃないか。
本当はシェインも仲間を信じたいんだろう。
なのに何故かチームは『自由』がモットー。
本当にシェインのトラウマだけでチームは
それぞれ協力しない方針になっているのか……?
ラディウスは視線を一点に集中させ、
やがて言葉を発した。
シェインは興味深く話題に食いつく。
〜別のフィールド内〜
こうして、フィールド内では
1チーム壊滅、何人かの脱落、棄権をしている時に
左サイドでは・・・













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!