第15話

第15話 食後のフラペチーノ
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2026/07/11 06:00 更新
パスタ屋さんを出ると、夏の日差しが少しだけ柔らかくなっていた。

🍌「スタバ、あっちだよ。」

「そっちだったか!」

🍌「ははっ。」

そんなやり取りをしながら歩く時間さえ楽しい。

学校では話すことなんてほとんどなかったのに、不思議なくらい会話が途切れない。



店内に入ると、コーヒーの香りがふわっと広がった。

🍌「何飲む?」

メニューを見ながら悩む。

「ん〜……。」

🍌「迷ってる?」

「すごく迷ってる(笑)」

🍌「優柔不断だもんね。」

「覚えてるんだ。」

🍌「さっき言ってたじゃん。」

その何気ない一言が、少しだけ嬉しい。

“ちゃんと覚えてくれてる。”

そんな小さなことが、胸を温かくした。

🍌「おすすめある?」

「私はいつもこれ!」

指をさしたのは、いつも頼むお気に入りのフラペチーノ。

🍌「じゃあ俺もそれにしようかな。」

「え?」

🍌「ハズレないんでしょ?」

「たぶん!」

🍌「“たぶん”か(笑)」

二人で笑う。



ドリンクを受け取って、窓際の席に座る。

「いただきます。」

🍌「いただきます。」

一口飲んだ音くんが少し驚いた顔をした。

🍌「おいしい。」

「ほんと?」

🍌「うん。」

🍌「これ好きかも。」

「よかった〜!」

なんだか自分が褒められたみたいで、自然と笑顔になる。



窓の外では、家族連れや学生たちが楽しそうに歩いている。

店内には静かな音楽が流れていた。

🍌「休みの日って何してるの?」

「買い物かな。」

🍌「やっぱり。」

「え?」

🍌「服好きって言ってたし。」

「そうそう!」

「音くんは?」

🍌「野球ばっかり。」

「やっぱり(笑)」

🍌「あとは、ゲーム。」

「ゲームするの?」

🍌「するよ。」

「意外!」

🍌「よく言われる(笑)」

学校では知らなかった音くんが、一つずつ増えていく。

野球が好きなこと。

ゲームもすること。

笑うと目が少し細くなること。

照れると耳が赤くなること。

全部が新しくて。

全部が、もっと知りたくなる。



少しして。

🍌「そういえば。」

「うん?」

🍌「修学旅行の写真。」

「え?」

🍌「お気に入りある?」

思わずスマホを取り出す。

「これかな。」

ジンベエザメの前で並んで笑っている一枚。

友達が撮ってくれた写真だった。

🍌「俺もそれ。」

「ほんと?」

🍌「自然に笑えてる。」

「確かに(笑)」

少しだけ沈黙が流れる。

でも、その沈黙は嫌じゃなかった。

お互い同じ写真を見つめながら、小さく笑う。

🍌「あの日、誘ってよかった。」

……

胸がどくんと鳴る。

「私も。」

小さく答える。

「すごく嬉しかった。」

音くんは照れたように視線をそらしながら笑った。

🍌「よかった。」

その二文字だけなのに。

何度も心の中で繰り返してしまう。



気づけば時計は夕方を指していた。

「もうこんな時間。」

🍌「ほんとだ。」

少し名残惜しい。

まだ帰りたくない。

そんな気持ちは、きっとお互い同じだった。

🍌「そろそろ駅行こっか。」

「うん。」

カップを片付けて、二人並んで店を出る。

駅までの道は、行きより少しだけ静かだった。

でも、その静けさは気まずいからじゃない。

何かを伝えたい。

そんな空気が、少しずつ流れ始めていた。

このとき私は、まだ知らなかった。

駅のホームで聞く、たった一言が。

これから先も、ずっと忘れられない言葉になることを。

























続きは、明日の12:00公開です。

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