視点無し
鎹鴉からの伝令の数刻前
藤崎と時透はとある森の中を見回りしていた
時透は気付きかけたがそこで思考を止めた
あの時ちゃんと聞けばよかった
と後悔することを彼はまだ知らない
ー現在
藤崎と時透は森の中を駆けていた
無一郎視点
やっぱり見回りをしていたあの森は
お館様のお屋敷のすぐ近くだったッ!!
あなたは知ってたの?
僕はそう思いあなたに視線を向けた
彼女は泣いていた
悔しさからか唇を強く噛んでいた
僕は泣いている彼女に何も言えなかった
あなた視点
本部に向かってる最中
私はずっと謝っていた
こうなることが分かっていたのに
私はお館様を助けられなかった
本当は見回りと称して本部に行ってアイツに斬りかかってる間に輝利哉たちに頼んでお館様達を避難させるつもりだった
でもそんなことしてもお館様の呪いは消えないから
お館様が苦しむ姿を見ることになるから
そう思ってしまって行動に移せなかった
実の娘として育ててもらった恩を返せなくてごめんなさい
不甲斐ない姉でごめんなさい
家族として過ごしてきたのに助けられなくてごめんなさい
何度も何度も何度も謝った
大切な人たちを失う苦しみはもう感じたくないのに
私はまた家族を失ってしまった
共に死ぬ覚悟はもう出来ている
視点無し
元鬼殺隊本部 産屋敷邸
柱は皆鴉の伝令により本部に向かっていた
不死川が見たのは
焼け野原になっている産屋敷邸と
その中心に居る男
そしてその男と戦っている悲鳴嶼だった
屋敷に到着した柱たちは次々と息を飲んだ
時透と藤崎も同様だった
中には声を上げる者もいた
冨岡と共に来ていた炭治郎が刀を抜きながら叫んだ
その瞬間
柱たちは一斉に呼吸を使った
彼らが鬼舞辻に斬りかかろうとした瞬間
鬼舞辻が鼻で笑ったと同時に琵琶の音がしたと同時に
地面が消え、無限の空間に落とされた
あなた視点
突然地面が消えた
謎の空間に落とされた
落下の影響で耳飾りがカラカラ鳴り続けている
無一郎は私に手を伸ばしてきた
私も無一郎に手を伸ばした
無一郎が手を取った瞬間グイッと引いてきた
そのまま無一郎は私を抱き留めてくれた
行冥の方を向いた時遠くに六つの目を持つ鬼を見た
行かなきゃ……
私は必死に腕を伸ばした
彼はその光景を見たあとすぐどこかへ行ってしまった
私の声は届かなかった
私が巌勝の方を見ている間に目の前から建物が迫っていたらしい
行冥が日輪刀の鉄球部分を振って壁を壊してくれた
私と無一郎はそれを合図にお互いから離れた
私たちが入った部屋のようなところには鬼が沢山いた
私は鉄珍様に打ってもらった蜜璃ちゃんと同じ刀を手にし
一瞬にして全ての鬼の頸を斬った
少し開けたところに出て、私は無一郎と行冥の方を向いて言った
私はそう言って彼らの元を去った
私の名を叫ぶ彼の声を無視して
さっきから涙が止まらない
本部に着いてからずっと私は涙を流し続けている
今日で死ぬのが分かっているからなのか
あの人を斬るのが怖いのか
大切な愛弟子と離れる決断をしたからなのか
今日の私は謝ってばかりだ
無一郎視点
あなたの背中が遠くなっていく
さっきまで一緒にあなたを止めてたじゃん……
僕はまた大切な人を失うのか
鬼によって___
待ってて、あなた
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。