第5話

4.
158
2025/12/28 08:48 更新




いつからか二人は、







私に隠して何かを話すようになった。








何を話してるのか聞いてみても、







「なんでもないわよ〜。」




「気にしないでね。」







と、はぐらかされた。














母親
一二三いろはちゃん、こっちおいで〜。






あなた
はぁーい!






私、"あなたの下の名前"は偽の名前だった。








いや、一二三いろはが偽だったのかは分からない。






私たち三姉妹にはそれぞれ名前はあった。







だけどいつの日かお姉ちゃんたちが







私たち3人の間だけの名前を決めよう、と







よく分からないことを言ってきた。








私は、あなたの下の名前。






はじめお姉ちゃんはみどり






二三つぐみお姉ちゃんはつむぎ






今思えば、3人とも元の名前は適当だった。








長女だから一がつく名前。


次女だから二がつく名前。


三女だから三がつく名前。






本当に大切な娘たちにつける名前だろうか?





あの時は別になんとも思わなかったけれど、






今は、一二三いろはという名前は好きじゃない。








でも、3人で決めた名前は、






特別な感じがして好きだった。







屋敷の中で、3人だけが知ってる名前。






私はこの名前を大切にしていた。








母親
お話をしてあげましょうか?







あなた
おはなしー!してー!







母親
ちょっぴり怖いお話ですよ。






母親
このお屋敷の奥の方…






あなた
おやまのてっぺん!







母親
はい、お山のてっぺんの方ですね。






母親
そこには井戸があるんですって、







母親
その井戸の周りでは







母親
「うー」とか「助けて」って声が
聞こえてくるんですって。






ふるるっと身震いする私の頭をポンポンと撫でる母。







母親
けれど、それだけじゃないのです。





母親
普段は、怖〜い声が聞こえるだけ、






母親
けれど、鐘の音が鳴っている間は





母親
決して、近づいてはなりません。






母親
もし、井戸に近づいてしまうと






母親
おばけが出てきて、
引きずり込まれちゃうのです…。







あまりの怖さに涙目の私を見て






「あらあら、ごめんなさいね。」







と、私を抱き上げてあやした。






あなた
ひぐ、、ひっく、、、







母親
大丈夫ですよ〜、






母親
あなたは、鐘の音が鳴っていなくても、






母親
近づいてはなりませんよ?






母親
そうすれば、大丈夫ですからね。









そんな話を聞いてから、私は







絶対に井戸には近づかないと決めた。







そして、しばらく経ったある日から







翠お姉ちゃんと会うことが少なくなった。







プリ小説オーディオドラマ