やはり、ない。

世界地図どころか、有史以来どこにも貴方の出身地の名前は見当たりません。

貴方、本当にそこから来たんですか？
嘘をついているんじゃないでしょうね？

こうなってくると貴方かまなんらかのトラブルで別の惑星………あるいは異世界から招集された可能性が出てきましたね。

何か心当たりが？

(産みの母と言う言い方、少し引っ掛かりますが…)
と、言いますと？

異世界から？
つまり、貴方のお母様は、
貴方が言っていた"日本"とは、また別の世界から来た、と？

因みにその地名は？

そうですか………ん？
今、なんと？

いえ、その前です

ヴァンパイアの世界とはつまりどういう？

そうなると、貴方も……

聞いてませんよ?!

はぁ、となると、その、血とかは……?

…………（一歩下がり）
ごほん、貴方、ここへ来るときに持っていたものなどは？

困りましたねえ。

魔法を使えない者をこの学園に置いておくわけにはいかない。

しかし保護者に連絡もつかない無一文の若者を放り出すのは教育者として非常に胸が痛みます。
それに貴方ヴァンパイアですし。

私、優しいので。

う～ん…………そうだ！

学園内には今は使われていない建物があります。

昔、寮として使われていた建物なので掃除すれば寝泊まりぐらいはできるはずです。

そこであれば、しばらく宿として貸し出して上げましょう！

その間に貴方が元いた場所に変えれる方法を探るのです。

あ～なんて優しいんでしょう、私！
教育者の鑑ですね。

では善は急げです。寮へ向かいましょう。少し古いですが、趣のある建物ですよ。

そうでしょう、そうでしょう。さあ中へどうぞ。

ここであればとりあえず雨風は凌げるはずです。

ダメですよ！？

まったく……え？

いえ、いま女と聞こえたような気がしたのですが……

聞いてませんよ?!?!
そんな重要なこと何故言わないんですか？！

ますます困りましたねえ……貴女、もう少し女性であるという自覚を持ってください……

とりあえず、私は調べものに戻りますので適当に過ごしていてください。

学園内はウロウロしないように！では！