「あ、あなたっち!
風邪って聞いたけど大丈夫だった?」
『はい。すぐ治ったので大丈夫です。
ご心配ありがとうございます』
「治ったって言っても病み上がりだから、あんま無茶すんなよ」
『わかってるよ』
あれから玲王に過剰なほど看病され、万全の体調になって月曜日。
今日も相変わらず太陽みたいな蜂楽くんの笑顔に癒されながら、私も笑顔でこたえた。
「ていうか!玲王っちと潔はタメなのに、なんでおれには敬語なの!」
『あ、えっと、初対面で失礼かな…って』
「そんなの全然気にしないから、タメで話して!」
『じゃあ、わかりま…わかったよ』
蜂楽くんの勢いに押されて、タメ口で話すことになった。
問題は無いんだけどね
「つーか、そんなの気にするやついねぇと思うぞ?」
「そうそう!逆に距離感じちゃうし」
「最初からタメでいいんじゃね?」
『わ、わかった』
ついでに玲王の勢いにも押されて全員に最初からタメ口で話すことになった。
さすがに先輩には敬語だけど
「あ、神蔵見さん。大丈夫だった?」
『うん。大丈夫。ご心配ありがとね』
潔くんにも心配されてしまった。
優しい人たちだなぁ
と、サッカー部の温かさにやさしい気持ちになっていたとき。
後ろの方から玲王と、凪くんの声が聞こえた。
「あ、玲王。
土曜来てなかったね。玲王が部活休むとか初めてじゃない?」
「あ?凪見てなかったのか?
グルラであなたが風邪ひいたから休むって言ったじゃねぇか」
「んー、玲王の個人ライン以外見てないから知らない」
「お前……大事な知らせとかもあるんだからちゃんと見とけよ」
「えー、めんどくさーい」
凪くん……
前に、玲王が私の事ばっか話してるって教えてくれたし、悪い人じゃないと思う。
嘘、の可能性もあるけど、そんなことする人には見えないな
二人の会話に気を取られていると、後ろの方から私の名前が呼ばれていた
「神蔵見さん!こっち手伝っていただけますか?」
私は帝襟先生に返事をして、マネージャーの仕事をこなすべく急ぎ足で向かった。
「ちかれたー」
「マッサージしてやるから、ちょっと待て」
ちかれた???
ちかれたって何????
というのは置いといて。
現在、部活終わり。
いつも通り玲王は凪くんに付きっきりだ。
でも、玲王が尽くすのもうなずけるくらいに、凪くんは練習でも天才っぷりを発揮していた。
私と凪くんの差は、特別な才能があるかないか。
そういうことだよね
玲王が合理主義で、目標のためには手段を選ばない。そんな所は、そばでずっと見てきた私がいちばん知ってる。
玲王のワールドカップ優勝という目標に、凪くんは必要だけど、私は必要じゃない。
わかってる。私は、玲王にとって別に必要じゃない。それでも付き合ってくれてるのは、私が婚約者だからで、もしくは特別親しいと呼べる友人がいない私への情けかもしれない。
わかってる。私は玲王の、そんな所も含めて好きなんだから。
「あなた?帰るぞー」
『あ、うん』
夕焼けに照らされた玲王の笑顔は、眩しかった











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。