あれから蜂楽くんと、そのあと潔くんも入ってきて一緒に練習をした。
相変わらず玲王は凪くんと...
ちょっと寂しい感じもするけど、でもしょうがないよね
玲王には、いや、サッカー部全員。夢があって、目標があって、それを本気で叶えるためにがんばってる。
こんな生半可な私は、こんなに熱い場所にいていいのかと不安になる。
ずっとそんなことを考えていて、あなたっち、大丈夫?と蜂楽くんに心配された。
そして辺りが段々と暗くなり、太陽が地平線のその向こうに沈むころ
玲王も練習が終わったらしく、やはり一緒に帰ることになった。
玲王が黙々と道具を片付けている中、私はベンチでだらしなく座っている凪くんの横に、適度な距離を置いて座った。
片付けを手伝うと申し出たのだが、いいよ、座っときな、と言われ手持ち無沙汰だったのだ。
そこで凪くんは一度こちらを一瞥して、怠そうに目をゆっくり閉じてから、何の気なしに口を開いた。
「...玲王さ、いっつも君の話してるよ」
『...え?』
「これ言ったら玲王に怒られそうだけど。
前あわててジュース拭こうとしたら、そこでまた転けてて、かわいかったって」
『...、ただの、私のドジなエピソードじゃないですか』
「うん。でも、玲王はかわいかったって。
俺にはわかんないけど」
『...一応聞いときますけど、それ、嘘じゃないですよね』
「そんなめんどくさいことしない」
『...そう、ですか』
...かわいい、か
こんな私でも、かわいいって思ってくれるんだ
無愛想で、そのクセドジで、なのに威張っちゃって、変なとこで真面目で
こんな私でも、かわいいんだ
直接言われたことはないけど、凪くんがホントのこと言ってる証明はないけど、それでも、照れる...
「片付け終わった。帰ろうぜ」
『あ、うん』
「...なんかあなた、顔赤くね?」
『、えっ』
「もしかして、熱中症とかか?
すまん、急に長時間外はキツかったよな」
『え、いや、違うから、大丈夫だよ』
「...ホントか?」
『う、うん。それより、早く帰ろ?さすがに暗くなってきたし』
「...なんかあったらすぐ言えよ?」
『わかってるよ』
玲王は多分、私は顔に出ないから、照れてるって選択肢がないんだろうな...
本当は、照れてるときだけ顔に出るんだけど
玲王のせいだよ
「...あなた?なんかぼーっとしてるけど、
やっぱ熱中症じゃ...」
『ち、違うから!大丈夫だよ』
そんな会話をしながら、後ろにとぼとぼ着いて来ていた凪くんを最後に乗せて、リムジンは学校を立った。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!