第3話

#Prologue
37
2026/04/20 08:30 更新
雨上がりの曇り空は、どこか中途半端で、
だけど少しだけ世界が綺麗に見えた。
  
アスファルトはまだ濡れていて、
街灯や車のライトをぼんやりと映している。
  
大学の帰り道。
いつものように、私たちは八人で並んで歩いていた。
  
「ねえ、あの講義さ、絶対寝てたでしょ」
「バレてた?いや、ちゃんと聞いてたって」
  
他愛もない会話。笑い声。
変わらないはずの日常が、そこにあった。
  
誰かがコンビニに寄るかどうかで揉めて、
誰かがスマホを見ながら適当に相槌を打って、
そんな、どこにでもある帰り道。
  
  
  
――そのはずだった。
  
  
  
遠くから、妙に大きなエンジン音が聞こえた。
振り返るよりも早く、ヘッドライトの光が、
やけに強く目に焼きつく。
  
「~~」
  
誰かの短い声。
  
次の瞬間、世界が、白く弾けた。
  
音も、痛みも、時間さえも、
全部がぐちゃぐちゃに混ざり合って――
  
そして、すべてが途切れた。
  
気がついたとき、
私はもう、あの帰り道にはいなかった。

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